「それ、危険です!」悪口が脳に与える影響とは?
鳥飼アミカ
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「悪口を言うのは良くない」と耳にする方は多いでしょう。もちろん、人を悪く言うのは道徳的に悪いことは誰でも知っていることです。
しかし、悪口を言うときに脳にも影響があるってご存じですか?
悪口を言ってすっきりした気持ちになっていても、実は脳にも身体的にも悪影響が。
具体的にどのように「良くない」のかこの記事で取り上げていきます。
悪口を言うと、脳内に「ドーパミン」が放出されます。ドーパミンは神経伝達物質の一つで「幸せホルモン」とも呼ばれます。この物質が出ると生産性がアップし、達成感を得て楽しい気分になります。やる気や幸福感を引き出す重要な物質ですが、一方で依存を引き起こす要因とも言われています。
「悪口を言うと快感が得られる」そう学んでしまうと、快感を得るために脳はますます悪口を言うようになります。
「悪口を言ってスッキリするならいいじゃないか」と思われる方もいるかもしれません。
実は、悪口は自分自身に対してもマイナスの効果をもたらしてしまいます。
悪口を聞くと、脳はストレス反応を引き起こします。脳は悪口の対象が誰か、ではなく悪口が発せられているということだけを認識します。
人の悪口を言っているつもりでも、脳はその言葉を「自分のこと」として解釈します。
他人のことを言ってスッキリしているつもりが、「自分に悪口が向けられている」と脳が判断し、じわじわとストレスを溜めていってしまいます。
ストレスが長く続くと、コルチゾールというストレスホルモンが増加します。コルチゾールの増加により、長い期間ストレスのレベルが高い状態を維持するようになります。
コルチゾールが過剰に分泌され続けると、脳の海馬と呼ばれる部分に萎縮が見られるようになります。
海馬は記憶や学習能力、情動行動制御などに関わる大事な部分です。脳が悪口にさらされ続けると、海馬が萎縮し記憶力や集中力の低下を招くのです。
東フィンランド大学のアンナ・マイジャ・トルパネン博士が発表した論文でも「高レベルな皮肉や不信感を持つ人は認知症リスクが高い」という研究が発表されています。
「悪口を言う」と聞くと、対象を他人に向けているように見えます。しかし、それらの行動は全て自分に返ってきます。
言えば言うほど、自分にとってマイナスでしかありません。
では、悪口を言いたくなったときはどうすればよいのでしょうか。
悪口はよくないということを大前提に置きながら、悪口を言いたくなるというのは他人のできていない部分に気づくということです。他人のことが気になり、何か言いたくなるということは、そのポイントにおいて「自分がうまくできることがある」と言えます。悪口は、自分のよいところを発見するチャンスでもあるのです。
昔から「人の振り見て、我が振り直せ」という言葉があるように、他人の高度から学ぶことを取り入れることができるのです。
悪口を思い浮かべたら、それは自分にとってどんな可能性につながるのかを考えてみましょう。
自分のよさや頑張りに目がいくようになると、少しずつ自己肯定感も高まります。自己肯定感が高まると悪口を言う必要がなくなるので、意識しなくても自然に悪口を言わなくなっていきます。
悪口を言わなくなると悪循環が断ち切られ、少しずつ心も穏やかになります。
つい不満や愚痴など悪口を言いたくなる方は、ぜひご自身のいいところを伸ばすきっかけとしてみましょう。