起きたときに、昨夜見た夢をおぼえているかどうかは人によって違うもの。中にはあまり夢を見ないと言う人もいるでしょう。
しかし、実際には誰でも睡眠中に「夢」を見ています。人による違いは、それを覚えているかいないかだけ。

では、なぜ夢を覚えている人といない人がいるのでしょうか?

ここでは夢の記憶について説明します。
「見た内容を覚えている人とそうでない人の違い」、そして「なぜ人は夢を見たことを忘れるのか」について、見ていきましょう。

夢を覚えている人といない人との違いは単純


人は誰でも、睡眠中に夢を見ています。
つまり、人によって起きてから夢を覚えているかいないかの差は、単に「覚えているかそうでないか」だけ。
人の睡眠中には「大脳が起きているレム睡眠」と「大脳が休んでいるノンレム睡眠」が、約90分周期で変動しています。
以前の睡眠研究では、夢が現れるのはレム睡眠のときとされていました。しかし最近、ノンレム睡眠でも人は夢を見ているということが分かったのです。

つまり、内容を覚えていない人も実際には夢を見ていることになります。

なぜ人は夢を見る? 代表的な説明は5つ


夢を見る理由・原因についてはまだ解明されていません。
しかしさまざまな研究から仮説はあります。
ここで順番に紹介しましょう。

次の5つが代表的です。
1つ目:記憶の定着
2つ目:記憶の整理
3つ目:感情の整理
4つ目:記憶の分析
5つ目:特に目的はない

1つ目:記憶の定着
夢は、記憶を定着させるために見るという説です。
起きている間に得た情報を整理し、その人にとって必要なものを長期記憶として定着させています。

2つ目:記憶の整理
夢は、記憶の整理のために見るという説です。
本人にとって不快な記憶や必要がない記憶を消去し、大切な記憶を保存します。整理することで精神の健康を保つのです。

3つ目:感情の整理
夢は、感情を整理するために見るという説です。
起きている間に訪れた感情の記憶が寝ている間に夢として再生され、処理しています。

4つ目:記憶の分析
夢は、記憶を分析するために見るという説です。
現実に起きたことを夢で客観的に評価したり、分析したりしています。

5つ目:特に目的はない
夢を見ることに「特に目的はない」という説です。
ただ睡眠時に見るもので、数ある現象の1つです。

レム睡眠とノンレム睡眠の夢
の違い


人の眠りは大きく分けると2つ、レム睡眠とノンレム睡眠があります。
そしてレム睡眠とノンレム睡眠が入れ替わる度に、見る夢の内容も切り替わるそうです。
正常な睡眠サイクルを持っている人では、レム睡眠とノンレム睡眠は5回程度入れ替わります(6~8時間の睡眠)。
そのため、夢を見た回数が多いほど睡眠サイクルをきちんと回せていると考えられます。

では、レム睡眠とノンレム睡眠での夢の違いをみていきましょう。

レム睡眠のときにみる夢の特徴


このときに見ている夢の特徴は次の通りです。

・内容が鮮明
・突拍子がないが、話の流れはある
・感情が動かされるような話が多い
・実体験に近い話の内容が多い
・体感時間が長い

多くの場合、起きてすぐなら夢の内容を話せますが、数分で忘れてしまいます。

ノンレム睡眠のときにみる夢の特徴

ノンレム睡眠は脳も体も寝ている状態。一般的に深い眠りと言われます。

深い眠りのときに見る夢の特徴は次の通りです。
・不鮮明で曖昧
・実際に起きたできごとをそのまま見る
・体感時間が短い

眠りが深いため、起きたときにはぼーっとした寝ぼけ状態です。
何らかの刺激を与えて無理やり起こすと、まれに夢を覚えている人がいますが、基本的にはすべて忘れます。

夢を全部覚えていられないのはMCH神経の働きによるもの

寝ている間に見た映像やストーリーをすべて覚えていられないのは、脳にあるメラニン疑集ホルモン産生神経(MCH神経)が、夢の記憶を残らないように消去しているからだといわれています。

この説は、2019年の9月に名古屋大学環境医学研究所の山中教授のグループが発表しました。
つまり、人は誰でも睡眠中に複数の夢を見ますが、ホルモンの働きによって内容を忘れるのです。

夢を忘れにくいケース

神経の働きによって忘れるはずの夢を覚えているのは、次のようなケースが考えられます。

・ストレスを感じている
・睡眠の質が悪い

夢を使って記憶の定着や感情の処理を行っていると考えれば、ストレスや悩みを多く抱えているほど脳の負担になりますよね。
ストレスを解消しようとして夢をたくさん見ている場合、解決策を求めるがために、起きてもそれが忘れられないのかもしれません。

また、浅い睡眠が多く夜中に何度も目覚める場合などは、眠りの質が低下していると考えられます。
通常、覚えている夢は起きる直前のもの1つだけです。

しかし複数の内容を覚えているのであれば、それはつまりMCH神経がきちんと働いていないということ。これは十分にリラックスして眠れていないからでしょう。

睡眠の質を上げるために、次のことを試してみてください。
・眠る前にストレッチをして血の流れを良くする
・スマートホンは見ない
・部屋を暗くする
・首にフィットする枕に変える

まとめ


夢は、寝ている間に必ず現れます。
しかし、研究によって神経の働きでそれを忘れているということがわかりました。

夢を覚えているかどうかは、ただ単に記憶しているかそうでないかだけ。
とは言え、睡眠の質が低下していたりストレスや悩みを多く抱えていたりする場合には、本来忘れるはずの夢を覚えやすくなります。
もしも複数の夢を覚えているという方は、できるだけストレスを解消し、眠る前にリラックスする方法を試してみてください。

夢を見ることで脳に情報や感情を整理してもらい、元気な毎日を手に入れましょう。

【参考文献】
「はっきり内容を覚えている夢」の持つ役割 | 健康 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース (toyokeizai.net)
眠りのメカニズム | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
夢はどうして見るの?睡眠と夢の謎だらけを解決します | ブレインスリープ (BrainSleep) (brain-sleep.com)
共同発表:浅い眠りで記憶が消去される仕組みを解明~なぜ夢は起きるとすぐに忘れてしまうのか~ (jst.go.jp)

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関目いちこ