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睡眠を味方につけて記憶力アップ!~記憶と睡眠の関係~

田中 由香里(たなか ゆかり)
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明日は大切な試験というとき、あなたはできる限りのことするため徹夜をして臨みますか?もちろん、まったく何も準備ができていないのなら少しでも頭に詰め込むのも悪くないかもしれません。でも、脳の機能を知れば、睡眠が効率よく記憶力を高めてくれることがわかります。
目覚めている間、脳には目や耳などの感覚器を通じて、常にさまざまな情報が入ってきます。意図的なものもあれば意図せずはいってくるものもありますが、脳は睡眠をとることでリフレッシュし、新しい情報を取り入れ学習するための準備をおこなっているのです。

一夜漬けでは記憶は定着しない

記憶には、脳の内部に一時的に保存される「短期記憶」と長期的な情報として保持される「長期記憶」があります。脳内で「短期記憶」の保管される容量は小さく、重要度の高い情報や何度も必要となる情報は、大容量の保管ができる「長期記憶」へと移行していきます。人は目覚めている間に得た記憶を、睡眠中に脳の中で再生させ(この時に夢をみているそうです)整理し、定着を図っています。記憶してからいったん眠ることで記憶が定着するため、徹夜をするよりも、睡眠を挟んだほうが覚えている率が高くなります
そのため、試験の前日に睡眠を一切とらない徹夜やとにかく詰め込む「一夜漬け」だと、せっかく覚えたことが思い出せない・・・といったことが起こりやすくなるのです。寝る間を惜しんで覚えたとしても、覚えている率が低いのでは意味がありません。それよりも覚えている率が高くなるなら、少しの時間でも眠ったほうがよいということです。

睡眠と記憶の関係

もう少し詳しく睡眠中の脳が行う作業をみていきましょう。睡眠では、約90分「浅い眠り(レム睡眠)」と「深い眠り(ノンレム睡眠)」を周期的に繰り返しています。

レム睡眠中には眼球運動が行われ、体は休息し脳は起きている状態。逆にノンレム睡眠中には眼球運動はなく、体は起きて脳は休息の状態で、細胞の修復やリフレッシュ作業を行います。浅い眠りのレム睡眠は鳥類と哺乳類だけにみられるもので、ヒトでは新生児には多く、成人では睡眠時間の25%程度を占めます。以前は、記憶の定着にはノンレム睡眠が関与するとされ、レム睡眠の役割はよくわかっていませんでした。しかし、この浅い眠りのレム睡眠が、続いてやってくる深い眠りのノンレム睡眠の時に脳内の記憶定着を促す役割があることを筑波大学と理化学研究所などのチームが研究で明らかにしました。

9時間の睡眠をとった人には、睡眠中にレム睡眠が6回訪れ、6時間しか眠らなかった人に訪れるのは4回のレム睡眠。つまり、睡眠時間が短いほど、記憶の定着を促すレム睡眠の回数が減ってしまうということです。残念ながら、睡眠時間を削って一生懸命覚えたとしても、記憶を定着させるチャンスも比例して減っていくのです。

徹夜で覚えた情報は短期記憶のまま定着することのない記憶となり、消えてしまう可能性が高いといえます。

実際に1924年に実施された実験では、口頭で与えられた情報を8時間後にどれだけ覚えているかを、8時間ずっと起きているグループと8時間寝て過ごすグループで比較しました。同様の実験が複数の研究者によって再現されていますが、いずれも睡眠をはさむことで記憶の定着は20%~40%上昇する結果がでています。

また、睡眠による記憶の定着は学習したことだけではなく、スポーツや楽器の演奏などに関係する体で覚える記憶(手続き記憶)にも有効だとわかっています。いくら繰り返しやってみてもできなかったことが、あくる日に突然できるようになっていた、という経験はありませんか。この手続き記憶と関係が深いのがノンレム睡眠といわれています。練習をした夜には十分な睡眠をとる。学習と同様に、技術の向上にも睡眠は大切なプロセスとなるのです。

 

睡眠を味方に記憶力を高める

入眠後、最初のレム睡眠のあとに訪れるノンレム睡眠が一番長く深い眠りで、脳をしっかり休息させることのできる絶好のタイミングです。このノンレム睡眠の質を高めることが脳のリフレッシュ作業を促し、記憶の定着に役立ちます。寝具や照明、アロマなど活用して質の良い睡眠がとれる工夫をしましょう。
更に記憶力を高める睡眠のコツや方法について、興味深い研究がされています。

・バラの香りが記憶力をアップ

バラの香りを嗅ぎながら学習し、睡眠中に同じ香りの刺激を与えられると記憶力が強化されたという研究データがあります。ノンレム睡眠中に香りの刺激を与えると、記憶の中枢(海馬)の活性が目覚めているときよりも見られたとも報告されています。(科学雑誌『サイエンス』リューベック大学研究チーム)

・45分の昼寝は記憶力を最大5倍に向上!

120の単語を覚えたあと、DVDを見ていたグループと昼寝をしたグループとの記憶していた単語の数の比較では、昼寝をしたグループの方が圧倒的に高かったそうです。この結果から45分間の仮眠が、記憶力を5倍も向上させていると結論付けています。(ザールランド大学研究チーム)

まとめ

脳は、睡眠中に記憶の定着や整理をすることで、記憶のスペースを作っています。いくら学習して頭に詰め込んだとしても睡眠をとらなければ、記憶としてとどまる率は低く、徹夜は意味がありません。学習した事など効率よく記憶するには、学習後の6時間以上の質のよい睡眠がポイントです。昼寝も活用して、記憶力を高めましょう!

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田中 由香里(たなか ゆかり)