ヒトよりも複雑な脳を持つあの生物とは?
※この記事には動物の脳の標本写真が含まれます。ご注意ください。
2021年現在、世界には175万種の生物が確認されており、それぞれ多様な形態や機能を有しています。今回はその中でも様々な脳の形について注目していきましょう。
〇脳の”カタチ”
突然ですが皆さんは脳を実際に見たことはありますか。
どんな姿を思い浮かべるでしょう。
多くの方は薄ピンク色のシワの入った立体物を思い浮かべると思います。正にその通りで複雑なシワの入った薄いピンク色のものが頭の中には入っています。機会があればぜひ脳を出してみてください。非常に複雑で美しい構造をしています。
〇脳の”シワ”
私たちヒトは生物の中でもっとも高度な知能を有し、頭の中で考え様々なことをしています。誰しもが泣いた壮大なドラマや漫画を作り、時には数式を用いて何百メートルにも及ぶ建築物を作り出す。どれもヒトだけに確認されている能力であり、脳の発達によるものです。
冒頭で皆さんが想像したように脳の表面には数多くのシワがあります。私たちは生物の中でも脳にあるシワの数はトップレベルで、運動能力を制御する前頭葉や記憶をつかさどる海馬など様々な領域に分かれています。
実は生物によってこのシワの形状や数が異なります。昔から脳に関することで「知能が高ければ脳にたくさんのシワが入っているのか」という質問がよく登場しています。この質問の答えは未だにはっきりわかっていませんが、YESでもありNOでもあります。
そもそもシワとは何なのでしょうか。
哺乳類は最も知能が発達した種であり脳を肥大させてきました。一説によると、頭骨の中でもうこれ以上脳を大きくすることができないとなった時に表面を折りたたむことでさらに肥大させていったといわれています。それによって生じた溝(脳溝)が表面にあるシワです。この脳の表面は大脳新皮質ともいわれ、認知や思考に関係しており、シワが多い=表面積が広いということになります。
しかし、実はヒトよりもはるかに複雑なシワを持った生物が何種かいます。その代表として挙げられるのが鯨類です。
鯨類はヒトほどではありませんが頭のよい生き物として知られ、エコーロケーション(超音波で周りの状況を把握する能力)など人にはない能力をもっています。脳を比較すると鯨類の方がはるかに複雑なシワを有しています
シロナガスクジラの脳 大阪市自然史博物館
http://www.mus-his.city.osaka.jp/news/2006/brain/brain_item.htmlより引用
また、鯨類以外にもゾウやキリンなどでも非常に多くのシワが確認されています。一概にシワの数=知能の高さとは言えませんが、なんらかの関連性は見い出せるのではないでしょうか。この構造的な複雑性や機能などから鯨類やヒトは脳の進化においての極致の一つともいえます。
〇終わりに
いかがだったでしょうか。脳は我々動物の生命活動において中心的役割を果たす重要な器官でありながら、いまだに解明されていないことが多く、謎に包まれています。ヒトの脳だけを見ていたら気づかない多くのことが、他の生物の脳研究を通してわかるようになるかもしれませんね。脳の不思議を楽しみながらあたまについて学んでいきましょう。
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