仕事上のミスで自己嫌悪…。意識を変える第一歩とは
森本満里菜
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誰もが仕事をする上で一度は経験したことのある業務上でのミス。ミスは人間であれば、誰にでも起こりうるものです。しかし、業務上でのミスは少なからず誰かに迷惑がかかるもの。それが、確認さえきちんと行えば防げたであろう、うっかりが原因であった場合や、何度もミスを繰り返してしまった…という場合には、自己嫌悪に陥る事も少なくはありません。
この記事では、なぜミスは起こるのか、どうすればミスを防げるのかについてお話していきます。
・新入社員によくある、仕事に「不慣れ」であるが故のミス
仕事でミスが出る原因の多くは「不慣れ」が原因であるといいます。新人にミスが多いのは、仕事に不慣れであるが故の緊張感や業務の内容を正しく理解しきれていないことが原因であるそうです。しかし、新人のうちはミスはつきもの。先輩や上司も新人がミスを起こすことは想定内です。
ここでやってはいけないのは「手順がよくわからないのに自分の判断で業務を進めてしまうこと」と「ミスを隠そうとすること」です。
新人であるうちは会社内での人間関係の構築がまだできていないこともあって、仕事を行う上で基本である、「報告」「連絡」「相談」をしづらい…という場合もあるかと思います。しかし、わからないことがある場合やミスに気付いたときには、すぐに上司に相談することで、最小限の被害に抑えるようにフォローを入れてもらうことが可能になります。
「失敗は成功の母」ともいいます。「前に聞いたことを、もう一度聞いたら呆れられるかもしれない」「ミスがバレたら怒られる」という思いもわかりますが、きちんと自分のミスを認め、反省することで次の成功に生かすことができます。
・何でこんなミスしたんだろう?!仕事に「慣れて」しまったが故のミス
人間は慣れてくると緊張感がなくなってきます。いつもの仕事をいつものように処理していくことに慣れてくると、新人の頃は何度も行ったであろう、確認作業を怠るようになってしまいます。これが、仕事に慣れてきたときによく起こるミスの原因です。
こういった確認不足によるミスを防ぐには「指差呼称(しさこしょう)」を行うことが有効だとされています。指差呼称は、小さなミスが多くの人の命を奪う大事故に繋がることもある、乗り物の整備士や運転士等に取り入れられている確認方法で、対象物を指で差しながら「○○よし!」と声を発して確認する方法です。この指差呼称を行うことで、ミスが6分の1に減ることがわかっています。
ミスを防ぐためには、意識レベルを上げることが大切です。意識レベルを上げるためには、大脳を活性化させることが必要だそうです。指差呼称は「対象物を見る」「指を差す」「声を出す」といった行動を意識的に行うことで、大脳を活性化させ意識レベルを上げる効果があります。
オフィスで声を出しづらい場合には、指差しのみの確認でもエラーが3分の1に減ることがわかっています。初心を忘れずに、しっかりと確認をする習慣を意識付けましょう。
仕事でよくミスをしてしまう人には以下のような特徴があるといわれています。
・整理整頓や物事に優先順位をつけて考えるのが苦手
・失敗したくないという気持ちが強すぎる
・メモを取らない
・行動に移すのが苦手
・客観的に自分や周囲を見ることが苦手
上記の特徴に当てはまると思った人は、例えば気づいたときに、デスクを片付けるように意識したり、その日のTo Do Listを書き出して優先順位を考えたり、メモを取ることを習慣づけたりなど、できる範囲のことから変えてみましょう。自分の苦手なことを理解して、それを改善するための行動を習慣化していくことでミスを減らすことができます。
何度もお伝えしますが、人間であればミスが起こるのは当然です。人間が自己嫌悪に陥って落ち込むのは「嫌なことを考え続けるから」です。
嫌な気持ちは集中力にも影響することがわかっています。ミスを引きずるあまり、次のミスを生んでしまうという悪循環も起こりえます。二度と同じミスをしない為に反省することは大切ですが、落ち込むあまりに次のミスを誘発しては本末転倒です。
大切なことは、なぜミスしてしまったのかの原因を探って、次に同じミスをしないようにするにはどうすればいいのかを考えることです。これ以上のことを考えて落ち込む必要はありません。
仕事ができる人も、失敗をしないわけではありません。彼らは失敗の後のフォローが上手で、失敗を次に生かす行動をすぐにとっているため、一見失敗していないように見えるだけです。では、仕事ができる人のように起きてしまった失敗を後悔するのではなく、被害を最小限に抑えるための行動を、すぐ実行に移せるようにするにはどうすればいいのか。それには、気持ちの切り替えが大切です。
気持ちを上手く切り替えるために、例えば、業務終了後に一本締めのように手を叩くといった、簡単にできるルーティンで頭の切り替えをはかったり、深呼吸をして気持ちを落ち着かせたり、顔を洗ってリフレッシュしたりといったことが有効です。
大事なことは「ミスをしないこと」ではなく、「仕事で成果を得ること」です。
最近では、「新しいことに挑戦しないと成功には繋がらない、失敗は挑戦した証である」ということから、失敗した社員を『大失敗賞』として表彰している企業もあります。
失敗を恐れたり、悔やんだりするのではなく、気持ちをすっきりと切り替えて業務にあたることで、業務にもしっかり集中できるようになります。また、集中できることで仕事の成果にも繋がるでしょう。
くよくよと失敗を後悔して落ち込むのではなく、前向きに心を切り替えて、仕事に励むことが「失敗」を「成功」へと変えるための意識の第一歩であるといえるでしょう。
【参考】
・LIMO『仕事でミス!原因は?対処法から対策まで。心の病が原因であることも。』
・リクナビNEXTジャーナル『デキる人は「失敗し落ち込む自分」からどう回復しているのか?』
・ビジネス+IT『仕事のミスはあなたのせいじゃない。失敗学の権威が語る、ミス直後に本当にすべきこと』
・マイナビニュース『人はなぜミスをするのか? – 元ANA整備士に聞く、ミスの起こらない組織とは』