「舌からはじめる脳トレ」フレイル予防にタタタタタタ!
要介護と健康の中間にある状態のことを「フレイル」といいます。要介護から健康に戻ることは困難ですが、フレイルから健康に戻ることは十分に可能です。フレイルの段階で予防策を講じるために、各研究機関では“フレイルになる要因”についての研究が日々進められています。今回の記事では「フレイルになった人たちには“舌の機能の衰え”という共通点があった!」という研究報告について解説します。
フレイルになった人の共通点
フレイルの予防法を研究するため、岡山大学が以下の条件で調査を行いました。
(1)60歳以上の患者を対象にフレイル評価を行い、健康だった人を2年間追跡調査。
(2)2年後に健康のままだった人とフレイルになった人の違いを分析。
その結果、フレイルになった人には「2年前から舌の動きが衰えていた」という共通点が見つかりました。
研究の方法には限界があり「口の機能が悪いからフレイルになった」のか「フレイルになったから口の機能が悪くなった」のかまでは分かっていませんが、口の機能とフレイルには関連があるということです。
研究報告によると「タ」と発音する能力は特に関連性が強く、2年後も健康な人では1秒に平均して6.3回「タ」を発音できたのに対して、2年後にフレイルに陥ってしまった人では1秒に平均して5.9回しか「タ」と発音できませんでした。
この研究報告からすると、1秒間でタタタタタタと「タ」を6回言えなくなったら、フレイルになる可能性が高まっているので要注意ということになります。
滑舌をキープできれば脳の老化を予防できる
これまでの研究で「社会とのつながり」を失うことがフレイルの入り口になっているようだということは判明していました。岡山大学の研究によって、さらに一歩踏み込み「口の機能の低下」とフレイルが相関関係にあると判明したわけです。
研究者たちは「舌を使わなくなったから機能が衰える」のか「舌の機能が衰えたから使わなくなるのか」をまだ明言できないようですが、恐らくこの両方が原因となっているはずです。舌が回らなくなれば話す機会は減りますし、話す機会が減れば舌はいよいよ回らなくなります。どちらが原因にせよ「滑舌の良さ」がフレイル予防につながることは明らかです。
舌のトレーニングはパタカラ体操がオススメ
滑舌を良くするためのトレーニングは「パタカラ体操」がオススメです。パタカラ体操とは喉つまりを防ぐための代表的な訓練方法で、口や舌の機能をバランスよく鍛えることができる体操です。岡山大学の研究で特に注目されていた「タ」の発声訓練も含まれているので、フレイル予防に適した体操といえるでしょう。
パタカラ体操のやり方は以下の通りです。
1. 単音で発音
「パ」「タ」「カ」「ラ」と1音ずつ発音します。
2.連続で発音
「パパパ・・・」「タタタ・・・」「パタカラパタカラ・・・」と連続で発音します。
3.文で発音
パ・タ・カ・ラを含む文を発音します。よく使われるのは「パンダの宝物」。
【発音時のコツ】
パの発音をする時は唇をしっかり閉じてから「パ!」と発音。
タの発音をする時は上あごに舌をしっかりつけてから「タ!」と発音。
カの発音をする時は上あごの奥に舌をつけてから「カ!」と発音。
ラの発音をする時は巻き舌で上あごをなぞるように「ラ!」と発音。
効果的にトレーニングするためには、はっきり発音することが大切です。慣れないうちは、ゆっくりと発音してください。慣れてきたらスピードを上げていくのも効果的です。
まとめ
「フレイルと舌の機能には深い関係がある」という研究報告を解説しました。研究で特に注目されていたのは「タ」の発音です。会話の機会を大切にしつつ、パタカラ体操で舌の機能をしっかりキープ。人とたくさん話して若々しい毎日を送ることが、フレイル予防にもつながります!
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