【効きすぎ注意!】脳に良い5つの栄養

吉田 朋生
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「日中は眠くて仕事や勉強が手につかない…」
このような悩みを持つ方が多いのではないでしょうか。もしかすると、それ、栄養不足かもしれませんよ。
この記事では、5大栄養素の観点から順に、脳に良い栄養を紹介していきます。調子がすぐれない方は、記事の内容を参考にしてみてください。

目次
①オメガ3脂肪酸が心を穏やかにする/ 脂質
②食物繊維が腸と脳を同時に活性化する/ 炭水化物
③プロテインはほどほどに/ タンパク質
④ビタミンDが頭痛を抑え、頭をよくする/ ビタミン
⑤メンタルを改善する4つのミネラル/ ミネラル

オメガ3脂肪酸が心を穏やかにする/ 脂質

まずは、5大栄養素ひとつめ、脂質から見ていきましょう。
脂質の中で、現代人がもっとも不足しがちだと言われているものは、オメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸は、体内では合成できない必須脂肪酸なので、意識的に摂る必要があります。
よく知られているのは大きく以下の3つ。
① α-リノレン酸(ALA)
② エイコサペンタエン酸(EPA)
③ ドコサヘキサエン酸(DHA)

ALAはアマニ油やチアシード、くるみ油、ナッツ類、ウナギなど、DHAやEPAはサーモンやサバ、アンチョビ、ニシン、白身魚などの魚類に多く含まれます。
オメガ3脂肪酸の主なはたらきは、抗炎症作用。抗炎症作用がはたらかなければ、脳の免疫細胞が暴走して、外敵だけでなく自分の細胞をも攻撃するようになり、あらゆる脳の病気のリスクが上がってしまいます。
オメガ3脂肪酸が不足してしまうと、脳や心には以下のような悪影響が及ぶという。
①うつリスクの上昇=”(Larrieu 2018)
②感情調節能力の低下(同上)
③認知症リスクの上昇(Shahidi 2018)

脳の免疫細胞を正常に働かせるには、食事で摂るオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の比率が重要になります。
乗り物でたとえると、オメガ3脂肪酸はブレーキ、オメガ6脂肪酸はアクセル。
オメガ6脂肪酸が多すぎると、免疫細胞はつねにアクセルを踏みつづけている状態となります。
オメガ6脂肪酸もオメガ3脂肪酸と同様、必須脂肪酸ですが、一般的な生活を送っていれば不足することはありません。
というのも、人類はここ100年で植物油の消費量が爆発的にのび(下図)、現代、市販で使われる植物油のほとんどがオメガ6系の油になっているからです。

引用:(Cordain 2005) FIGURE 4. 1909-1919年から1990-1999年までの米国における一人当たりの植物油の消費量.(Oil consumption:油の消費量、Margarine:マーガリン、Shortening:ショートニング、Salad, cooking oils:サラダ・食用油、Total Vegetable Oils:植物油脂合計)

普段からスーパーの総菜やファストフード、ジャンクフードばかり食べている人は、間違いなくオメガ6脂肪酸の過剰摂取になっているでしょう。
一般的な洋食は「オメガ3:オメガ6=1:20」となっているそうですが、人類は進化の過程では比率1:1で摂取してきました(Simopoulos 2011)
それゆえ、わたしたちの人体のメカニズムは比率1:1の食事に適応していると考えられます。

気持ちが整理できないという方は、オメガ3脂肪酸不足かもしれません。
なるべくオメガ3脂肪酸を多く含むナッツ類や魚類、ドレッシングを食事に取り入れてみてはどうでしょうか。

食物繊維が腸と脳を同時に活性化する/ 炭水化物

次に、5大栄養素ふたつめ、炭水化物を見ていきます。
「炭水化物」といえば、ジャンクフードやジュースなどの甘いもの(=糖質)をイメージされる方が多いと思いますが、もう一つ重要な成分「食物繊維」を忘れてはいけません。
食物繊維は腸内環境を整えるはたらきがあり、フルーツや野菜、穀類、いも、豆、海藻などに多く含まれます。
中でも、フルーツや野菜に含まれる食物繊維はとくに腸内細菌に好まれ、その75~90%も代謝に使われると推定されています。(Berding 2021)
腸といえば、消化活動を行う器官だというイメージが強いですが、近年の研究では脳や心と密接な関係があることが分かってきています。
なんと、腸は神経や血管を介して脳と連絡し、ぼくたちの感情や行動に大きく影響を与えていたようです。
たとえば、腸内細菌は、感情や行動に影響する数多くのホルモンを合成し、それらを人体に供給しています。
激しい怒りをこらえることができない状態を「腸(はらわた)が煮えくり返る」と表現しますが、文字通り腸が怒っているのかもしれませんね。

腸を怒らせないためにも、しっかりエサ(食物繊維)を与えましょう。

18本の研究結果を総合的に解析した論文によると、フルーツや野菜の一日当たりの摂取量が 100 g 増えるごとに、うつ病のリスクが 5% も減少することが分かりました飯村 彬仁08/04 9:50(Saghafian 2018)
フルーツや野菜に含まれる食物繊維が腸を活性化し、メンタルを改善したと考えられます。
このように、腸内環境を整えることは、脳内環境を整えることにつながることが分かっています。
気分を前向きにしたい方は、腸内細菌のエサ・食物繊維を多く含む食品を献立に取り入れてみてはどうでしょうか。

ただし、注意点があります。
巷では「野菜一日一キロ!」など、食物繊維や善玉菌入りの食品の過剰な量の摂取をすすめる人がいます。
腸内環境を整えることは大事ですが、さすがに「野菜一日一キロ」などは摂りすぎです。
食物繊維や善玉菌を摂りすぎると、小腸内細菌増殖症(SIBO)という病気になることも報告されているため、ご注意ください。

そもそも、人類は進化の過程で腸を短くしてきました。

引用:Furness 2015Figure 1.(左上からヒト、ブタ、イヌ、オランウータン、カンガルー、ヒツジ、ウマ、コアラの腸)

これは、肉食生活を始め、火を使って調理した物を食べるようになったことで、消化にかかる時間が少なく済むようになったからだと考えられています(Andrews 2020)

つまり、人類の腸は、消化しやすい食べ物に適応・進化してきたということ。
したがって、人類の腸は、生野菜のような消化しにくい食物繊維を大量に処理するようできていないと考えられます。

野菜は350g摂れば、食物繊維の目標摂取量を満たすと言われているので(食べる野菜の種類によりますが。)、とりあえずはそこを基準に献立を考えましょう。

プロテインはほどほどに/ タンパク質


5大栄養素3つ目、タンパク質を見ていきましょう。
近年の健康志向の高まりから、プロテインを飲み始めたという方が多いかもしれません。
たしかに、高タンパク質食は消化管から各種ホルモンを分泌させ、結果として脳の快楽・欲望を司る領域のはたらきを調節し、満腹度を上げることが分かっています(Journel 2012)
それゆえ、プロテインを摂取することはダイエット効果などが期待できます。

しかし、基本的に以下のような人でないかぎり、あえてプロテインを多めに摂るのはあまりおすすめしません。
①肥満の人(BMI 25以上)
②筋トレする人
③リハビリ中の人
④マラソンランナー、もしくは、よく運動する人
⑤高齢者など

というのも、高タンパク質食に関して、ネガティブなデータが多く報告されているからです。
たとえば、ラット脳において高タンパク質食が酸化ストレスを誘発すると報告されています(Żebrowska 2019)
酸化ストレスは、アルツハイマー病やパーキンソン病、統合失調症、その他の多くの精神疾患の原因となります。
とくに、アルツハイマー病は動物性タンパク質の過剰摂取で発症する疾患であり(Hahr 2015)、アルツハイマー病マウスの脳の重量は高タンパク質食によって5%も下がることが分かりました(Pedrini 2009)
脳以外にも、高タンパク質食は、低タンパク質食に比べ寿命を短くすることが数多くの研究で報告されています(Kitada 2019)

これは、おそらくタンパク質不足の状態にならないと、「生きのびよう」という人体のメカニズムが働かないためでしょう。
太古の昔、肉のようなタンパク源は、武器の準備を徹底し、狩りに出かけ、獲物をどう狩るか頭を働かせた後、やっとの思いでとれる貴重な物でした。
現代では何も考えず食べたいときにいくらでも食べられるようになったため、ぼくたちの脳や身体はたるんでしまっています。

したがって、ダイエットしたい人や筋力をつけたい人、高齢者 以外の普通の健康な若者に、あえてプロテインを摂ることはあまりおすすめしません。
体重1kg当たり1.6~2.2g/日(体重60kgだと約100g/日)のタンパク質を摂れれば十分です。

ビタミンDが頭痛を抑え、頭をよくする/ ビタミン


5大栄養素4つ目、ビタミンを見ていきます。
ビタミンは全部で13種類。
基本的には、ビタミンは、ひとつの栄養素をピンポイントで摂るよりも、食品やマルチビタミンサプリという形で摂るほうが望ましいと言われています。

とは言っても、近年、現代人が非常に不足しやすい、あるビタミンが注目されるようになってきました。
それが、ビタミンDです。
主に紫外線を浴びることで体内で合成される脂溶性ビタミン。
食品からも摂取可能で、キノコや魚介類、鶏卵などに多く含まれます。

テクノロジーが高度に発展した現代環境では、わたしたちは日の光を浴びる機会が減りました。
日焼け止めを塗ったり、コロナ禍で外出自粛したりする人も多くなっています。
このような環境では、十分に体内でビタミンDが合成されません。

ビタミンDは細胞増殖、神経筋機能、免疫機能、グルコース代謝など、細胞レベルでの機能を担うため、これが不足すると体のいたるところに悪影響が及びます。

たとえば、ビタミンDが不足すると、脳には以下のことが起こりやすくなる可能性があります。
①片頭痛(Ghorbani 2019)
②認知機能の低下(Balion 2012)など。

脳以外にも、肥満リスク(Pereira-Santos 2015)感染症リスク(Charan 2012)ガン死亡率(Keum 2019)を上げる可能性があります。
したがって、外へ出る機会が少ない人や紫外線対策を徹底する人は、サプリメントを使ってビタミンDをピンポイントで補給するのもアリかもしれません。

厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2020年版)』によると、ビタミンDの摂取目安量は成人だと男女ともに8.5µg、上限量は100 µgとなっています。
同省によると、「顔と両手を露出した状況で、5.5 µg のビタミン D3 を産生するのに必要な日照への曝露時間を求めた報告によると、那覇では冬季でもビタミン D 産生が期待できるが、12 月の札幌では正午前後以外ではほとんど期待できず、晴天日の正午前後でも 76 分を要する」ようなので、自分の生活スタイルと照らし合わせてサプリメントを摂るべきかどうかを決めるのがよいかもしれません。
ビタミンDは脂溶性ビタミンで体内に蓄積しやすいので、くれぐれも過剰摂取にはご注意ください。

メンタルを改善する4つのミネラル/ ミネラル


最後に、5大栄養素の5つ目、ミネラルを見ていきましょう。
ミネラルは16種類もあることが知られ、ビタミンと同様、基本的には食品やマルチミネラルサプリでバランスよく摂取することが望ましいと言われています。

ミネラルの中で、とくにメンタルにかかわるものは以下の成分。
①マグネシウム
②カルシウム
③鉄
④亜鉛
これらが不足するほど、抑うつ症状を示す人が多いことが分かっています(Miki 2015)

マグネシウム(①)は、神経細胞の過剰な活性化を抑え、片頭痛や脳卒中、不安、その他多くの精神疾患から守るはたらきがあることが示唆されています(Kirkland 2018)
ひじきや昆布、わかめ、アーモンドなどに多く含まれ、クリームやスプレー、入浴剤などで皮膚から吸収することもできます。

カルシウム(②)は、あまりサプリメントで摂ることをおすすめしません。
というのも、カルシウム摂取による健康被害が多く報告されているからです。

たとえば、5年間追跡調査した結果、カルシウム補給の治療を受けた女性患者は、カルシウム補給の治療を受けなかった女性患者に比べ、認知症の発症リスクが2倍以上になったことが分かりました(Kern 2016)
できるならカルシウムはサプリメントではなく食品から摂るようにしたほうがよいでしょう。
牛乳やこまつな、とうふ、いわしなどに多く含まれます。

鉄(③)は、学習能力や認知機能、記憶力の改善など、脳で重要なはたらきをもつことが分かっています(Sandstead 2000)
納豆やこまつな、レバー、卵などに多く含まれます。

亜鉛(④)は神経細胞の興奮性や生存率を調節する働きがあり、アルツハイマー病や脳卒中、てんかんなどに重要な影響を与える可能性があると言われています(Sensi 2011)
カキや牛肉、チーズ、ナッツなどに多く含まれます。

厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2020年版)』によると、上記4つのミネラルの摂取推奨量と上限量は以下の通り。

参考:厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2020年版)』.(単位:mg/日)

心の調子がよくないという方は、普段食べるものを見直し、場合によっては上の表と照らし合わせてサプリメントを摂るようにしてみてはどうでしょうか。

まとめ

いかがだったでしょうか。
本記事では5大栄養素の観点から脳に良い栄養を紹介しました。

①オメガ3脂肪酸が心を穏やかにする/ 脂質
②食物繊維が腸と脳を同時に活性化する/ 炭水化物
③プロテインはほどほどに/ タンパク質
④ビタミンDが頭痛を抑え、頭をよくする/ ビタミン
⑤メンタルを改善する4つのミネラル/ ミネラル

「毎日、頭痛に悩まされている」
「勉強に集中できない」
などの悩みをもつ方は、ぜひ今回話したことを参考にしてみてくださいね。

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