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集中力と性格は関係ない? 集中力を高める50のコツ

須永 貴子(すなが たかこ)
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先ごろ放送されていた吉高由里子さん主演のドラマ『私、定時で帰ります』(TBS系)にこんなシーンがありました。ダラダラと仕事をして、毎日のように残業し、ときには会社に泊まることもある後輩に、吉高さんが演じる先輩社員が、「残業をせずに仕事をこなすテクニック」を教えていくのです。

  • デスクの上にある仕事と関係ないフィギュア類を片付ける
  • その日にこなすべき作業を付箋に書き出して優先順位順に貼り出す
  • 作業の目標時間を設定してタイマーをかける
  • 必ず一定の間隔で休憩をとって頭をリフレッシュさせる

集中力をうまく使えるようになった結果、彼の仕事効率は格段にアップしました。この後輩くんほどではないけれど、けっして集中力があるとは言えない筆者にとって、とても参考になるドラマでした。

こんなに役に立つテクニックをもっと知りたい! そこで見つけた本が、行動科学マネジメントのコンサルタント、冨山真由さんの著書『今すぐ! 集中力をつくる技術』です。ページを開き、「集中力は誰もが同じように持っている力。あなたが集中できないのは(中略)集中するコツを知らないだけ。(中略)コツさえわかればいつでもどんなときでも集中できる自分に変わることができます」という序文で驚かされました。なぜなら筆者は自分を「集中力のない、飽きっぽい“性格”」だと思っていたからです。

行動科学マネジメントに基づいた技術で集中力を高める

本書には、行動科学マネジメントに基づいた集中する50のコツが、タイプ別にまとめられています。まず基本となるのは、集中するための環境づくり。第1章では「どんなときも集中力がぐんぐん高まる技術」として、下記のようなテクニックが紹介されています。

「スマホはカバンの中へ」
「使わない書類は引き出しの中へ」
「まわりがうるさくて集中できないときはイヤホンを装着」
「作業の開始や小さな区切りで『よし!』と声に出すことで脳のノリがよくなっていく」
「とりあえず『5分だけやろう』で集中力のスイッチをオン」

ちなみにまさに今、筆者も「よし!」と声がけしながらこの原稿を書いています。そして、本書は以下のように続きます。

第2章「気分がのらなくても集中する技術」→「気分がのらないから集中できない」という歪んだ認知を転換する

気分がのらないから集中できないのではなく、気分がのらないと“思う”からネガティブになり、どんどん集中できなくなるのだそうです。ここで必要になるコツは、正しい認知に切り替える、「なんとなく不安なときは、なにが不安なのかを書き出す」「失敗したときは、そこで得られた教訓を見つける」「『これをやれば自分の調子が良くなる』ことをやる」といった技術です。

ちょっとしたコツで、確実に成果を出す

第3章「ギリギリにならないと集中できない自分を変える技術」→原因は見積もりの甘さ。作業を正しく“見える化”して、効率的に集中する

たとえば締め切りまで3日かかる仕事において、3日目のラスト3時間になって、お尻に火がついてようやく集中するという人は多いのではないでしょうか。ここで必要になるのは、漠然と「3日間でやる」という意識で取り組むのではなく作業を細分化し、それぞれにかかる時間を見積もることだそうです。そのうえで、集中力をアップするために使えるコツは「締め切りを1日前に設定する」「考える必要のないデータから打ち込んでいく」「あえて約束を入れてしまう」などだそうです。

第4章「膨大な業務にもパニックにならずに集中する技術」→仕事を細分化し、業績に直結する行動に集中し、優先順位ではなく劣後順位で判断し、いらないものを捨てていく

この項で参考になったのは、仕事を細分化しておくと、人の助けを借りるときに作業を振りやすいというコツです。また、「集中するといいことがある」と脳に覚えさせると、集中力が高まるため、いわゆる「自分へのご褒美」は有効とのこと。劣後順位で見極め、今やらなくてもいいと判断したことはノートなどに殴り書きしておくと、「あれやったっけ…」という不安にさいなまれる時間の削減になるそうです。

行動と認識を変えて、集中力アップ

第5章「本番で集中する技術」→科学的エビデンスに基づいた行動のコツを取り入れれば、誰もが本番に強くなる

試験や試合、プレゼンで集中力を発揮するには、無駄な緊張を緩和するコツが必要になってきます。そこで冨山先生は、信頼のおけるデータに基づいた、「商談では相手のネクタイの結び目を見る」「手足が震えるときは、『震えるほど緊張している』のではなく、血管の収縮が原因なので、手足をグーパーして、血流を良くする」「プレゼンの目的は『プレゼンの完成度』ではなく『契約を取ること』。『何のためにやっているんだっけ?』を合言葉に」といった緊張緩和(=集中力アップ)のコツを伝授してくれます。

まとめ

集中力には「やる気」「才能」「意識」「気分」は関係がなく、人は誰でも小さな「行動のコツ」で、もともと備わっている「集中力」を発揮できることがわかりました。筆者のように「自分は集中力がないから…」と諦めていた人は、この本を参考に、小さな成功体験を重ねてみてはいかがでしょうか?

「今すぐ! 集中力をつくる技術――いつでもサクッと成果が出る50の行動」(冨山真由 著/石田淳 監修/祥伝社)2017年2月出版

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須永 貴子(すなが たかこ)

国際基督教大学卒。群馬県出身、東京都在住。映画を中心に、エンターテインメントに関する記事を雑誌やウェブ、映画パンフレットなどで執筆中。人の顔と名前を覚えられないことが大のコンプレックスです。