子どもに成績が良いと伝えると成績があがる!?
今の日本では学力が重視されている傾向にあり、子どものためにも「頭の良い子に育って欲しい」と願う親は多いのではないでしょうか。また、親では無いものの教育という分野に関心ある人の中には、同じように頭を悩ませている方もいるでしょう。では、どうすれば子どもの成績を上げることができるのでしょうか?
「机に向かって何時間も学習すれば良い」という考え方はもう古いかもしれません。親や教育者の立場として何ができるのでしょうか?今年の7月に発表された最新の研究結果を元に、成績を向上させるうえでの大切なポイントをお伝えします。
1.ポイントは「学習意欲」のアップ
大阪市立大学が7月27日に発表した研究結果から、成績を向上させるには「学習意欲をアップさせる」ことが大切だということが明らかになりました。もともと人間はやる気の有無がパフォーマンスの結果に大きな差が出るといわれていましたが、それには脳科学的な証拠がありませんでした。
しかし脳の認知機能が成績向上に大きく関係していると考えた研究チームは、意欲を引き出すような情報を与えた時に、脳の認知機能があがっていく神経のメカニズムの効果について研究しました。そしてその結果から、子どもの成績を向上させるには「達成感」などによって引き出される学習意欲が重要であることが、科学的な根拠を元に証明されました。
2.研究内容と結果
実験の内容としては健常な成人男性20人が参加し、2つの条件下で「注意機能」と「作業記憶」に関わる難しい認知課題を解いてもらうというものでした。
1つの目の条件では、課題を解いてもらう合間に実際の結果とは無関係に「自分の成績が平均を上回っている」ことを示す画像を見せました。もう1つの条件は比較検証のために「全く成績とは関係が無い画像」を見せるという内容で実施されました。
2つの条件を比べてみると、成績が向上している画像を見せた時には課題の成績が保たれましたが、全く関係が無い画像を見せたときには課題の正答率が低下し、成績も下がるという結果でした。実際に課題中の脳の活動を調べてみると、成績が良い結果であるということを示すことで活発に働く脳の部位の存在も明らかになりました。これは、達成感や有能感を与えることで、課題に取り組むときに使っている脳の部位の動きが促進され、その結果として課題の成績が向上したのではないかと考えられています。
3.事実と関係なく向上する
この結果からわかるようにたとえ事実でないとしても、子どもに達成感や有能感を与えることで学習意欲がアップし認知機能を向上させる可能性があります。子どもを叱りたくなるのをグッとこらえてまずはポジティブな見方をし、学習に関して小さなことだったとしてもできている点について褒めてみるのはいかがでしょうか?
厚生労働省の管轄機関である生理学研究所では、脳にとって「褒められる」という行為は私達にとっての「金銭的報酬にも匹敵する」ほどの効果があるといわれており、もっと頑張ろう!と意欲を高める気持ちにさせると結論づけています。更に「スポーツでも褒められた方が上達するのが速い」という結果も発表されています。
4.正しく子どもを褒めるには?
子どもに達成感を与えるためには学習に対して「正しく褒める」ことが大切です。日本では成果主義的な見方をしてしまう人が比較的多いことも影響し、どのように人を褒めたら良いのかわからない人が多いかもしれません。自分が子どもの時にあまり褒められた経験がないと余計にどうすれば良いかわからない!と頭を抱えてしまう人もいるのです。
しかし、誰でも意識すれば簡単に子どもを正しく褒めることはできます。次の3つのポイントを是非試してみてください。
- 気持ちを聞いてどのように努力したのか聞き出す
自分が気づかなかった部分で、子どもはたくさん悩んだり努力したりしていたのかもしれません。全て把握できていると思わないで、まずは子どもに今の気持ちや感想を聞いてみましょう。子どもが学習するうえで意識していたことや苦手に思っていたことも把握できますし、ピンポイントかつ具体的に褒めることができます。
- 結果ではなく努力や過程を褒める
結果についつい注目しがちですが、結果だけではなくその過程にも目を向けるようにしてみましょう。継続的に学習できたことや前向きな見方などを褒めることで次回の学習に繋げることができます。学習意欲をアップさせるうえで継続的な姿勢は大切だからです。
- 自分の想いを素直に伝える
子どもが努力したことに対して、自分がどのように感じているのかを伝えましょう。嬉しい、誇りに思ったなど素直に伝えるようにします。例え成績が思ったようにすぐに上がらなかったとしても、その努力を認めていることを伝えれば、子どもは次もまた頑張ろう!と学習に対する意欲を継続させることができます。
5.まとめ
最近の研究結果から、事実とは関係無くても「成績が良い」と伝えると学習意欲がアップし、成績を向上させることがわかりました。学習意欲をアップさせるためにも達成感や有能感を引き出すことが重要です。そうすることによって、学習に大切な認知機能に関する脳の部位の動きが促進され、成績向上に繋がるのです。
子どもの場合、学習面に関して些細なことでも「正しく褒める」ことによって、学習意欲をアップさせることができます。実際に褒めた場合の脳の効果についても証明されています。
お伝えした3つの大切なポイントを生活のなかで意識してみましょう。
▼参考文献
事実に関わらずいい成績であると伝えると学習意欲が向上する、大阪市大が確認 | TECH+
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