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昔を思い出すことで認知症が予防できるって知ってましたか?

江角 悠子(えずみ ゆうこ)
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同窓会などで、友だちと昔を思い出し語り合う。若い頃や子どもの頃に使っていた物を見て、思い出話に花を咲かせる。すると一気に学生気分、子ども時代を思い出し、懐かしく、幸せな気持ちになったりすることはありませんか。

実は、それだけで十分脳に刺激を与えることが分かっています。

懐かしい思い出を語り合う。これは認知症を進行させないために、高齢者介護施設でも「回想法」として取り入れられ、明らかな効果を上げているそうです。

過去を懐かしむことで認知機能が高まる回想法って?

回想法は、1960年代にアメリカの精神科医、ロバート・バトラー氏が提唱した「ライフレビュー」が元となっています。昔のことを思い出したり、子どもの頃の嬉しかったことを誰かに話したり、そうした過去を回想することで精神安定が期待できたため、当初は高齢者のうつ病治療に使われていました。

さらに、長く続けることで認知機能が改善することも明らかになり、日本でも認知症患者のリハビリテーションに利用されるようになりました。

国立長寿医療研究センターでも検証され、回想法を実行した人はやらなかった人に比べて、認知機能が改善したという結果も出ています。

昔のことを思い出す、つまり記憶の出し入れをすればするほど、脳は活性化するということなのです!

昭和に流行ったものを思い出してみよう!

思い出すだけで、そんなことが期待できるとは!?と思った皆さん、さっそく昔を振り返ってみませんか。ここでは、昔の感情が蘇って思わず心が動いてしまうようなモノ、コトをいくつか紹介していきます。

取り上げるのは、皆さんが青春時代を過ごされたであろう、昭和に流行ったもの。懐かしい話題に接することで、すっかり忘れていた当時の思い出も蘇ってくるかもしれませんね。

クイズ形式で3問出題します。さぁ、いくつ答えられるでしょうか。

(1)東京・原宿の代々木公園の歩行者天国で、独特の鮮やかな衣装を身に着け、ディスコサウンドに合わせて、踊っていた若者たちは「〇〇〇〇族」と呼ばれた。

(2)大きな宝石の形をした、カラフルなキャンディーがついた指輪型のお菓子は、「〇〇〇〇リング」

(3)ソニーから発売された、ヘッドホンだけで聴く、携帯可能な小型の再生専用音楽プレーヤーは、「〇〇〇〇〇〇」。瞑想する猿、チョロ吉がテレビのCMに登場したことでも話題に。

いかがでしたか?

正解は

(1) 竹の子族
(2) ジュエル
(3) ウォークマン

でした!

2問目に登場した「ジュエルリング」は、私も子どもの頃に大好きだったお菓子。「ジュエルリング」という単語とともに、鮮やかなピンク色の映像まで浮かんできました(もう一度指にはめて、食べてみたい…!)。

そんな風に、たとえ言葉が出てこなかったとしても、問題を読むことで、その時代にあった楽しかったこと、印象的だったことも浮かんできたのではないでしょうか。それが結果的に刺激を与え、脳を若々しく保つことへとつながっていくのです。

懐かしの写真を見返しながら、思い出話に花を咲かせるのもアリ

ここでは懐かしい事柄をクイズ形式で出題しましたが、クイズでなくても、もっと気軽にご家庭で実践していただける回想法があります。

それが、昔のアルバムなどを見返して、ご家族やご夫婦で思い出話をしてみるというもの。

「え、そんなことで?」と思うかもしれませんが、これも立派な回想法の一つ。

懐かしいものに触れて回想すると、脳の活性化に良い影響があるのはもちろん、親子や夫婦間でコミュニケーションを取ることになり、思い出を共有することで、よりいっそう家族の絆も深まりそうです。

思い出話をするきっかけとして、アルバムの写真を見返す以外にも、昔の新聞記事や、当時の雑誌や古い本を見返すのもいいでしょう。

また昔懐かしい道具…たとえば、そろばん、紙風船、竹とんぼ、ブリキのおもちゃなどをきっかけに思い出話が弾むこともあるかもしれません。とはいえ、昔の道具はなかなか目にすることも少ないですよね。

まずは簡単に、自宅にある写真を使って昔の自分を思い出す「記憶クイズ」に挑戦されてみてはいかがでしょうか。こちらの記事では、詳しいやり方を紹介しています!

家にあるもので簡単にできる脳トレ5選記事へ

まとめ

脳の活性化を期待しているとはいえ、回想法は「昔を思い出して、みんなで語り合い、楽しい気分、幸せな気分になること」が一番の目的です。

アルバムを引っ張り出すのが億劫なら、子どもの頃に流行ったおもちゃなどについて、お子さんやお孫さんに話したり、古くからの友人と思い出話をしたりするだけでも十分!

芸能人の名前がなかなか出てこない、台所に来たはいいが、何をしに来たのかを忘れる…などなど、私自身ちょっと脳の衰えを感じ始めている今日この頃。ここで紹介した回想法なら、自宅ですぐに、また子どもも交えて実践できそうです。

そういえば、古い友だちとLINEでやり取りをしただけで学生時代を思い出し、何だか気持ちまで若返ったような気になる…なんてこともありました。

手軽にできる回想法、皆さんも、さっそく日々の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。


今回の記事で取り扱っている回想法に関する内容は、以下の書籍を参考にさせていただいています。
  • なぜ、「回想療法」が認知症に効くのか/小山敬子 (著)

 

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編集・文筆業、ときどき大学講師

江角 悠子(えずみ ゆうこ)

妙心寺派仁照寺の長女として誕生。京都外国語大学を卒業後、2006年よりフリーライター・編集者として活動。子育て中のため日々時間に追われ、常に生産性を高める脳の使い方、集中の仕方を模索しています。