イカも我慢する!?驚くべき”イカした”脳力
日本人にとってイカはとても身近な生き物です。イカのお寿司やスルメイカが大好物だという人も多いでしょう。また世界の国の中でも、日本のイカ消費量はトップクラスです。日本にとても馴染みのある生き物で、危険を感じると墨を吐き、足が10本あるということは皆さんが知っていると思います。
しかし、その他にも驚くべき“脳力”を持っていることが分かっています。
イカの恐るべき脳力
1 イカは我慢することが出来る?
イカについて、とある研究が2021年に発表されました。その結果というのは「イカは我慢することが出来る」というものでした。どのような方法で研究したのかというと、人間の子どもに行うマシュマロテストをイカに合わせたものでした。
プレッツェルを我慢するとマシュマロがもらえるというテストを、エビの切り身とイカの大好物である生きたエビに置き換えて実験は行われました。なんとその結果、イカは目の前のエビの切り身を我慢して大好物の生きたエビを食べることを選んだのです。イカにこのような知能があることが分かったことは、とても驚きの結果です。
2 イカの知能は犬レベル?
先ほどの我慢の実験でもイカが人間の子ども並みの知能を持つことが分かりました。またチンパンジーやオウムなど脳の大きい動物でもこのテストをクリアしています。哺乳類以外でこのテストをクリアしたのはイカが初めてだそうです。
とある研究では、イカをMRI装置(神経細胞の働きを見ることが出来る機械)で分析した結果を報告しています。それは、イカの脳は犬にも匹敵するレベルというものでした。皆さんもご存知の通り、犬はたくさんの芸を覚えたりと芸達者で賢い動物です。その証拠として、犬の脳の細胞の数は5億3000万個ですが、イカは5億個以上と驚くべき結果が明らかになりました。細胞の数は必ずしも、知能の高さとは比例しないとされていますが、この結果はイカの脳が発達していることを裏付けています。
そしてイカはこの数多くの脳細胞を「見ること」と「動くこと」に使っているそうです。イカは身体の色を変化させ、景色に溶け込んだりする能力を持っています。獲物に近づいたり、仲間とコミュニケーションを取るためです。このような能力を持つイカですが、実は色を認識することは出来ないと言われています。色が見えないにも関わらず、身体の色を変化させることが出来るのは、イカの数多くの脳細胞があってこそなのかもしれません。
3 イカは老化しない?
とある研究にて、イカの記憶力は年齢とともに衰えることがないという結果が発表されました。イカが我慢できるということも説明しましたが、実は我慢することにも記憶が関わっています。後から好物のエビがもらえることを覚えていないければならないからです。イカが記憶することが出来るのも驚きですが、それが歳を取っても衰えないとなると更に驚きです。
その研究は、寿命が2年のイカを若いグループ(10~12か月)と人間でいえば90歳以上のグループ(22~24か月)に分けて行なわれました。その2つのグループに分けられたイカに簡単な記憶テストを行ったところ、テスト結果に差が見られませんでした。また研究グループは、90歳以上のイカが餌を食べられないほど衰えたあとも脳の一部は若い頃のままだったことも発表しています。
・まとめ
今回はイカの驚くべき“脳力”について解説しました。イカが高い知能や機能を持つことを知らなかった人も多いのではないでしょうか。今回はイカの脳力について紹介しましたが、脳以外にも人間に近い目を持っていたり、3つの心臓を持っていたりと、身体能力の高さも注目されています。
ある海外番組では2億年後の地球はイカに支配されているという驚愕の内容でイカの特集が放送されました。私達がその姿を目撃することは出来ませんが、想像すると面白いですね。
今後イカや他の生き物を見る目が変わるかもしれません。好きな生き物や興味のある生き物を改めて調べてみると、新たな発見があるかもしれません。
この記事がその発見の一助となると幸いです。
【参考文献】
1 Alexandra, K. et al. (2021). Cuttlefish exert self-control in a delay of gratification task. The Royal Society.
2 Chung, W et al. (2020). Toward an MRI-Based mesoscale connectome of the squid brain. iScience.
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