実は高齢者も危険!スマホの使いすぎによるスマホ認知症の正体と対策
今や、私たちの生活に欠かせないものとして定着したスマートフォン。便利である一方、常に手放せなくなることによる悪影響も指摘され始めています。
最近よく聞くようになった「スマホ認知症」もそのひとつ。スマホの使いすぎが原因で、物忘れが増えたり判断力が低下したりする人が急増しているのです。
スマホ認知症は若い世代にだけ起こることだと思われがちですが、高齢者がなってしまう可能性も大いにあります。その原因や予防策を知り、スマホとの付き合い方を見直してみませんか?
「スマホ認知症」とは?「アルツハイマー型認知症」との違い
認知症というと、よく知られているのは「アルツハイマー型認知症」です。アルツハイマー型認知症とスマホ認知症との違いは、どこにあるのでしょうか?
アルツハイマー型認知症は物忘れから始まることが多いといわれていますが、その原因は脳の萎縮。記憶を司る「海馬」という部分を中心に、脳全体が縮んでいくことにより進行します。
アルツハイマー型認知症についてはロスマリン酸の予防効果が期待されています。ロスマリン酸について詳しくは、「今話題の脳の健康に役立つ成分「ロスマリン酸」とは?」をご覧ください。
一方、スマホ認知症では脳の萎縮は見られません。
物忘れや判断力の低下といった症状はアルツハイマー型認知症とよく似ていますが、スマホ認知症は四六時中スマホを手放さない生活習慣に起因すると考えられています。
スマホを使っているとき、その情報は脳のなかの「前頭前野」で処理されています。しかし、あまりに多くの情報を取り入れ続けていると、この部分に疲労が蓄積。オーバーワーク状態で処理が追いつかず、正常なはたらきができなくなっていきます。
覚えたことは頭のなかで整理されなければ、後から思い出すことはできません。でも、前頭前野のはたらきが止まると、膨大な情報が脳内で散らかり放題になってしまうのです。
その結果として、物忘れの多い「スマホ認知症」が起こるといわれています。
スマホ認知症が高齢者にも起こる理由
スマホの使いすぎは、20代〜40代の働き盛り世代やさらに若い子どもたちに特有の問題だと思われるかもしれません。しかし、50〜70代のスマホ所有率は約6割(注1)。この割合は今後さらに増えていくと考えられ、高齢者もスマホの使いすぎに陥るリスクは十分にあります。
さらに高齢者の生活スタイルは、スマホ認知症になってしまう可能性大。学校や会社に通っていれば色々な人とコミュニケーションをとる必要が自然と出てきますが、定年退職後には外出の機会が減り、人に会うこともあまりありません。家でひとり過ごす時間が長いと、退屈しのぎや便利さから、ついスマホに依存してしまいがちなのです。
また、認知症の改善には、コミュニケーション、運動、知的好奇心という3つの作用が必要といわれています。スマホで知的好奇心を満たすことばかりに偏っていると、高齢になって減っていたコミュニケーションや運動の機会が、さらに少なくなることに。そのため、もともと知的好奇心の強い人ほど、スマホ認知症にもなりやすいともいわれています。
(注1:2018年10月、MMD研究所「2018年10月 シニアのスマートフォン、 生活に対する意識調査」より。)
あなたは大丈夫?スマホ認知症チェックリスト
それではさっそく、スマホ認知症の症状をチェックしてみましょう。項目は全部で30。当てはまる数が多ければ多いほど、要注意です!
□家でも外出中でも、スマホはいつも手に取れる場所にスタンバイしている。
□少しでも時間が空いたら、スマホを取り出すクセがある。
□ちょっとした疑問が受かんだら、すぐにスマホで検索する。
□ほしいものやバスの時刻表など、覚えておきたいことはスマホのカメラで撮影する。
□初めての場所に行くとき、スマホなしでは時間通りに目的地へたどり着ける自信がない。
□紙の辞書や図書館の利用など、アナログな方法で調べ物をすることはほとんどない。
□常に時間に追われる生活だ。
□最新の情報をキャッチできず、周りについていけなくなることに不安を感じる。
□空耳でスマホの着信音が聞こえることがある。
□就寝前、ベッドや布団のなかでもスマホを触る習慣がある。
□ここ数年で記憶力が落ちた、あるいは物忘れが増えたと感じる。
□よく知っている人でもとっさに名前を思い出せないことがある。
□何かをするために動いたのに、目的を忘れてしまうことがよくある。
□予定を忘れていたり、ダブルブッキングをしたりして慌てることがよくある。
□3日前に何の仕事をしていたのかを思い出せない。
□ここ数ヶ月で話題になったニュースを3つ、挙げることができない。
□最近、漢字が書けなくなった。
□簡単な計算でも間違えることがある。
□スマホで検索すればわかるようなことは、覚えておく必要はないと思う。
□最近、道を覚えられなくなった、あるいは覚えようとしなくなった。
□頭も体も重だるい感じが続き、いつも疲れている。
□一日中イライラしたり、ちょっとしたことで感情を乱したりするようになった。
□慢性的に睡眠不足だ。
□頭痛、めまい、疲れ目、食欲不振、便秘など、体のあちこちに不調を感じる。
□仕事や家事に集中できず、以前はしなかったようなつまらないミスが増えた。
□やる気が起こらず、好きだったことに対しても興味が湧かなくなった。
□ちょっとしたことで落ち込むようになった。
□仕事や家事の段取りが悪くなった。
□最近、あまり笑っていない。
□最近、季節の移り変わりに対して鈍感になってきた気がする。
(奥村歩氏の著書「その「もの忘れ」はスマホ認知症だった」の「「スマホ認知症」危険度チェックリスト」を元に作成)
スマホ認知症を予防する、3つの習慣
チェックリストの結果はいかがだったでしょうか?当てはまる項目が多かった方も少なかった方も、これからスマホ認知症を予防するためには、膨大な情報処理で疲労した脳を休めることが大切です。そこで、日常生活で注意したいことを3つご紹介します。
意識的にアナログを取り入れよう
メモやスケジュール管理はスマホでもできますが、あえて手書きのものを活用するのがおすすめ。ときどき見直して覚えることも、脳にいい影響を及ぼします。また、いつもはSNSやメールでやりとりしている相手でも、ときには手書きの手紙を出してみるのもいいでしょう。
スマホ頼りではなく自分の頭を使う習慣を
忘れたことがあっても、すぐにスマホで検索するのはNG。思い出す努力をすることが、脳トレになります。計算も、アプリを使うのではなくまずは暗算をしてみてください。
視覚からの情報を遮断する時間づくり
1日5分間だけでも、目をつぶる時間をつくりましょう。視覚からの情報を遮断し、ぼんやりすることで脳が正常な働きを取り戻します。お風呂やトイレ、食事中にもスマホを見ないようにしましょう。今話題の、マインドフルネス瞑想を実践してみるのもいいかもしれません。
ここで紹介した方法を実践してもなかなかスマホを手放せないという人には、スマホの使用時間がわかるスマホ依存症対策アプリがおすすめ。ゲーム感覚で楽しめるものもあるので、一度調べてみてはいかがでしょうか?
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まとめ
自分は認知症とは無縁だと思っていても、意外に身近なところに発症の原因があるもの。特にスマホ認知症は、スマホに頼った生活をしている人であれば誰でも陥る危険性があります。
今回ご紹介した対策は、どれもすぐに実践できることばかりなので、ぜひ一度試してみてください。スマホが手放せない現代だからこそ、脳の健康を考えて上手に付き合っていきましょう!
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フリーライター
牟田 悠(むた はるか)
立命館大学大学院文学部日本文学専修前期課程修了。フリーライターとして、関西圏を中心に活動中。
質のいい記事をよりスピーディーに書き上げられるよう、脳の働きや集中力に関する情報にアンテナを張っています。