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十分な睡眠をとれていますか?~「睡眠負債」が脳と体に与える影響~

田中 由香里(たなか ゆかり)
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日々の睡眠不足が借金のように積み重なることを「睡眠負債」といいます。この「睡眠負債」が脳や体に与える影響が、さまざまな研究データであきらかになってきました。睡眠は、人の3大欲求の1つとして脳や体の機能維持に欠かせないものです。

睡眠の役割はひとつではなく脳と体の両方に恩恵をもたらし、心身ともにリフレッシュすることで私たちは健康でいられるのです。しかし、現実には十分な睡眠をとれておらず日中に眠気を感じている人も多いようです。

世界的にみて日本人の睡眠時間は最も短く慢性的な睡眠不足であり、「睡眠負債」を抱えていることがわかっています。不規則な勤務や夜型のライフスタイルの増加なども影響しているようですが、特に働く女性の睡眠時間は、家事や育児の負担もあり、男性以上に短いことが問題視されています。

睡眠負債がもたらす影響

世界的なシンクタンクである米ランド研究所による試算では、睡眠不足による日本の経済損失は約9兆6800億~約15兆1800億円(1ドル=110円で換算)という結果が報告されています。これは「死亡率の増加による労働人口の減少」や「仕事のパフォーマンス劣化による経営効率の低下」などの視点からまとめたものです。寝ているあいだに、脳は記憶の整理や定着、機能の回復を図っています

「睡眠負債」を積み上げることによって、脳の機能が低下すれば、物忘れやちょっとしたミスが多くなるのはもちろん、心や体の健康にも大きな影響を与えます。「睡眠不足が続いているけど、なんとか乗り切れている!」と頑張りすぎてはいませんか?その無理が、集中力を低下させ仕事のパフォーマンスを下げるだけでなく、鬱や認知症、肥満、糖尿病、ガンを引き起こしてしまうとしたら、どうでしょう。

「睡眠負債」と生活習慣病の関係は、研究であきらかになりつつあります。短時間睡眠の人は、寿命も短いことがわかってきたそうです。脳の機能維持だけでなく生活習慣病の予防の観点からも、睡眠を十分にとることは、とても大切なことなのです。

脳にもたらす影響

作業効率を下げる

6時間睡眠を2週間続けるのは、2晩徹夜するのと同じくらいに集中力が低下し、作業効率を下げることがわかっています。

感情のコントロールが難しくなる

十分な睡眠をとらないと、脳の理性をつかさどる部分(前頭前野)と感情をつかさどる部分(扁桃体)の連携が悪くなり感情にブレーキがかけられなくなります

認知症リスクを高める

脳のゴミ(アミロイドβ)は睡眠中に流されますが、十分な睡眠が取れないとゴミが蓄積され、認知症リスクを高めてしまいます

身体にもたらす影響

短時間睡眠の女性はBMI値(肥満指数)が高い

眠らないと、食べすぎを抑制する「レプチン」というホルモンが出ません。逆に、食欲を増す「グレリン」というホルモンが出ます。結果、BMI値が高くなる傾向にあり、生活習慣病リスクが高まります。

高血圧を招き糖尿病発症リスクを高める

眠らなければ、交感神経の緊張状態が続き、高血圧になります。そして血糖値の異常も起こり、インスリンが正常に働かなくなって、糖尿病を招く可能性が高くなります。

ガンのリスクを増大させる

睡眠不足によってがん細胞など異常な細胞が完成される頻度がふえる一方、免疫力の低下によって異常な細胞を除去することができません。

睡眠から生活リズムを整える

最適な睡眠時間はいったい何時間なのでしょう?

極端な例にはなりますが、ショートスリーパーとして有名なナポレオンは3時間の睡眠、アインシュタインは10時間の睡眠を必要としていたそうです。このように最適な睡眠時間には個人差があるようですが、最近では7時間から8時間くらいが適切な睡眠時間といわれています。年齢や個人差によっても違ってくるようですが、昼間に眠気を感じるのであれば、それは十分ではないと考えたほうかよさそうです。

私たちの睡眠のサイクルは、体の休息をする「レム睡眠」と脳の休息の「ノンレム睡眠」の90分といわれています。この90分サイクルにあわせて、起床すると目覚めやすくなります。特に、最初の3時間は深い眠りとなり疲労の回復のための重要な睡眠となるので、眠りにつく環境にも気を配りたいですね。

「睡眠負債」を抱えていると感じる方は、生活リズムを整えることから始めましょう。

まずは、早起きの習慣を。休日であっても同じ時間に起床することを続けると体内時計が整い、朝型にリセットされます。また、朝日を浴びることが目覚めをよくし、体内時計を整えるのに役立つそうです。寝だめをしても「睡眠負債」を解消することはできないようですので、毎日の睡眠をしっかりとるようにしてください。

まとめ

私たちは「睡眠負債」を抱えることによって、心身にさまざまなリスクを抱えることになりますが、睡眠の重要性を見直すだけで、生活習慣病のリスクを大きく下げる可能性があります。日々の健康やパフォーマンス維持のためにも、毎朝決まった時間の起床を心がけ、生活リズムを整え質のよい睡眠が取れるようにしましょう。

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