知らないと怖い熱中症が脳に与える影響

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夏になるとニュースなどで熱中症の危険についてよく取り上げられています。
近年では地球温暖化の影響で益々気温が上昇し熱中症で救急搬送される方が増えています。症状が深刻な場合は死亡者も出るなど大きな問題になっています。
特に今年の日本は暑い日々が続いており日が暮れても気温がなかなかさがりません。

熱中症と脳には深い関係があります。熱中症の症状の中には頭痛、めまい、意識障害などがありますが、これらは熱中症から脳に影響が出ている証拠です。大切な臓器の1つである脳を守るためにも、熱中症にならないよう予防したいものです。脳に影響する具体的な症状や原因、すぐに実践できる熱中症対策についてお伝えしていきます。今年の夏も元気に過ごすために生活のなかで積極的に取り入れてみてください。

 

1.熱中症とは

そもそも熱中症とは何でしょうか?言葉自体の認知度は高いですが表れる症状に個人差があるため、はっきりと理解していない人が多いかもしれません。
熱中症とは「高温多湿の環境下において体内の水分または塩分(ナトリウム)のバランスが崩れたり、 体内の調整機能が破綻したりすることなどが原因で発症する障害」の総称です。
通常は体内に熱が溜まっても、汗や外気への熱伝導で体の外側に熱を放散させて体内温度を調整します。しかし、高温多湿の環境に長時間いると、にはそれまで調整していた体の中のバランスが破綻してしまい、脳や体に熱が溜まっていくことで熱中症になってしまいます。

2.脳に影響を与える熱中症の症状

熱中症というのは総称ですので、熱中症のなかの細かい症状ごとに名前が付けられています。同じ熱中症でも、症状によって危険度に差があります。

  • 熱失神

炎天下などに長時間いた場合に発症しやすいです。直射日光によって皮膚の血管が拡張し、さらに立っている姿勢が持続されることによって血液が下肢に溜まり、脳への血流が減少していきます。脳に血流が不足することで失神、立ちくらみ、顔面そう白、めまいなどを引き起こします。

  • 熱疲労

熱疲労は熱中症のなかで主軸となる病態です。暑さを感じるような環境で長時間の運動をすると、大量に汗をかいて体内から水分と塩分を失ってしまうため、循環血液量が減少し脳への血流が不足してしまいます。酷い脱水とそれによって引き起こされる循環機能の不全が熱疲労の症状です。体温は正常か軽く上昇する程度で、異常な高熱はでません。軽度の錯乱などがみられることはありますが、高度な意識障害は殆ど起きません。頭痛、めまい、吐き気、おう吐、倦怠感などがみられるのが特徴です。

  • 熱射病

熱疲労の病態(高度の脱水と循環不全)がさらに進行していくと、脱水によって大切な熱放散のための反応である皮膚血管拡張と発汗の両方が抑制されてしまうため、体温がさらに上昇します。脳の温度が40℃以上に上昇することで機能が障害され、意識障害や体温調節機能不全(発汗停止)を引き起こすのが熱射病です。

意識障害は昏睡などの重症の時だけではなく、応答が鈍い、言動がおかしい、日時や場所が答えられないなどの軽いものでも注意が必要です。さらに頭痛、過呼吸、おう吐、下痢、頻脈、血圧低下などの症状がみられるような多臓器不全や 播種性血管内凝固症候群(はしゅせいけっかんないぎょうこしょうこうぐん)などの合併症を併発して死に至る場合もあるため非常に危険です。
熱射病になってしまうと、早めに適切な処置を行っても助けられないことがあります。熱疲労から熱射病へと悪化させないことが大切です。

3.熱中症と脳梗塞

熱中症と症状が似ていることから間違われやすいのが脳梗塞です。脳梗塞は冬というイメージがあるかもしれませんが、国立循環器病研究センターの発表によると脳梗塞は夏場でも同じくらい発症しやすいというデータが発表されています。

熱中症のように汗をかくと体の水分が不足し、血液がドロドロになり血栓ができると血管を詰まらせて脳梗塞を発症。熱中症の症状に加えて顔のしびれ、手足の力が抜ける、ろれつが回らず受け答えができないなどの症状が現れます。脳梗塞の場合は、脳細胞を守るために早急に病院へ行って、専門的な治療を受けるようにしましょう。
脳梗塞も暑さが原因となり脳に深刻な影響を及ぼすため、熱中症と同じように暑さに備えた対策をとることが必要です。

 

4.熱中症による脳への後遺症

熱中症の影響で脳に後遺症は残るのでしょうか?
場合によっては脳や脊髄などの中枢神経に障害を起こして後遺症が残ることがあります。後遺症としては、高次脳機能障害や小脳失調、パーキンソン症候群などです。後遺症が懸念されるのは重度の熱中症ですが、対策をして少しでもリスクを減らしたいですね。

 

5.熱中症対策

暑さ対策としてどのようなことができるでしょうか?

体質やその日の体調も関係していますが、日中の最高気温が30度を超えるあたりから熱中症による死亡者数は増えるといわれています。その日の気温も意識しながら対策していきましょう。

  • こまめに水分を補給する

喉が渇いたと感じる前から、こまめに水分を補給してください。運動などをしてたくさん汗をかいた時はスポーツドリンクや塩飴などで塩分も補給しましょう。

  • 暑さを避ける

今は感染予防のために窓を開けたり換気扇をつけたりすることが多いと思います。そのような予防も続けつつ、エアコンの温度をこまめに調整するようにして部屋の中を快適な温度にするようにしましょう。外出時には暑い時間帯を避け、涼しい服装や日傘、帽子の着用をおすすめします。体調に異変を感じたら水分を補給し、涼しい場所で休憩しましょう。

  • 日頃から健康管理をする

熱中症にはその日の体調が大きく関係しています。無茶な飲酒や朝食を抜くなど、体に負担がかかる行為は避けましょう。風邪をひいてたり下痢で脱水症状が表れやすい人は熱中症になりやすいので特に注意が必要です。
室内でも熱中症の危険があるため、日頃から冷房を使うのを我慢しないようにしましょう。

  • 気象庁による情報を確認する

環境省と気象庁が発表している「熱中症警戒アラート」を参考にするのも良いでしょう。
暑さに気づくように呼びかけており、国民の熱中症予防行動を効果的に促すことを目的として令和3年の4月から発表されるようになりました。暑さ指数の予測が33以上になる場合に、前日の17時には対象の都道府県にて発表されます。冷房を付けるかどうか、外出するかどうかなど判断の目安にすることができます。

 

5.まとめ

熱中症は脳と密接な関わりがあり健康に大きな影響を与えてしまいます。一度死んでしまった脳細胞はもう元の状態には戻りません。大切な脳を守るために今年の夏も、こまめに熱中症対策をしていきましょう。

 

▼参考文献

【第1章】第2節 熱中症とは(1)|(一財)中小建設業特別教育協会 (tokubetu.or.jp)

熱中症とそっくり!?夏の脳梗塞に要注意 | かんさい深掘り | 関西ブログ (nhk.or.jp)

熱中症による後遺症とは〜III度(重度)は後遺症のリスクがある状態〜 | メディカルノート (medicalnote.jp)

熱中症は予防が大事! 「3密」を避けながら、十分な対策をとりましょう | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン (gov-online.go.jp)

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