2003年の受動喫煙防止をうたった健康増進法の施行以来、世間では禁煙・分煙の流れが強まっています。喫煙可能な場所もどんどん縮小・減少されていく中で、「タバコをやめた方が良いのはわかっているけど、なかなかやめられない。」「社内禁煙になったけど、やめられない。仕事中にオフィスを抜け出して屋外に吸いに行くことも…。」そんな方があなたの周りにいませんか?

時代の推移とともに「タバコ=かっこいい大人」のイメージから「タバコ=健康に悪い」というイメージが浸透している中、それでもタバコをやめられないのには、いったいどういった理由があるのでしょうか。

タバコの歴史は古くから

タバコの歴史は古く、7世紀に古代マヤ文明で吸われたのが最初だとされています。

日本では、16世紀の半ばにポルトガルから「鉄砲」などとともに持ち込まれ、江戸時代に喫煙習慣が広がりました。日本だけでもタバコは約450年の長い歴史があります。

また、明治以降にはタバコは税の徴収手段となり、日本政府は、日露戦争の頃にタバコの製造販売を「国営」としました。国家収入を増やすため、日本政府が喫煙を推奨したことにより、昭和40年頃には日本人男性の喫煙率が80%を超えるほどになっています。この頃についた「タバコ=大人。かっこいい」というイメージは、日本政府によって印象付けられたものなのかもしれません。

 

 

タバコにかかる税率は約6割⁉

タバコは、日本において税負担率が高い商品のひとつです。タバコには国たばこ税」「地方たばこ税」「たばこ特別税」「消費税」の4種類の税金がかかっており、これらをタバコ1箱(20本入り/580円と仮定)あたりに換算すると、その税額はなんと357.6円となり、定価の61.7%を占めています。

とはいえ、日本のタバコ税率や価格は、1箱1,000円以上が当たり前となっているオーストラリアやイギリスなどの先進諸国に比べるとかなり低くなっています。言い換えると、日本のタバコ税には「まだ伸びしろがある」ということです。今後さらにタバコの税率や価格が高くなっていくことが予想されます。

 

 

禁煙によるメリットは大きい

禁煙によるメリットは、大きく「健康」「生活」「経済」面において挙げられます。

 

禁煙の健康的メリット

  • 呼吸が楽になる(息切れがしなくなる)
  • 咳や痰などの症状の改善
  • 口臭の改善・歯がキレイになる
  • 顔色が良くなる・お肌がキレイになる
  • 爽やかに目覚められるようになる
  • 免疫力が上がり、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりにくくなる
  • 脳梗塞や肺がんなど、様々な病気にかかるリスクが減る

 

禁煙の生活的メリット

  • 味覚や嗅覚が鋭敏になり、ごはんがおいしく感じられるようになる
  • 衣服や部屋からタバコ臭がしなくなる
  • カラオケで声が出やすくなる
  • 子どもや家族、恋人など、大切な人から喜ばれる
  • ニコチン切れでイライラしなくなる

 

禁煙の経済的メリット

  • タバコ代を貯蓄できる

 

タバコがやめられない原因は「ニコチン依存症」

 

なぜタバコがやめられないのか、それは「ニコチン依存症」という病気によるものです。では、なぜタバコを吸うと「ニコチン依存症」になってしまうのか、それは、脳にある受容体が原因です。

脳の中には、ニコチンが結合すると快感を覚える受容体があります。タバコを吸うと、ニコチンは血中を通してすぐに脳内に到達し、この受容体と結合して、快感を生じさせるドーパミンを放出させます。このドーパミンにより快感を覚えると、またタバコを吸いたくなるのです。このサイクルを繰り返すうちに、快感を覚えた後に起こるイライラなどの離脱症状(禁断症状)を解消するため、タバコがやめられなくなり悪循環へと陥ります。

 

タバコを吸うと寿命が約10年短くなる⁉

喫煙者の死亡率は、タバコを吸わない人より高いことは周知の事実ですが、厚生労働省の調査では、日本で喫煙に関連する病気で亡くなった人は年間で12~13万人(※1)、世界では年間500万人以上であるとされています。さらに日本国内の調査では20歳よりも前に喫煙を始めると、男性の場合は8年、女性では10年も寿命が短くなることが分かっています(※2)。

また、喫煙で肺がんのリスクが高くなることをご存じの方が多いでしょうが、喫煙は肺がんに限らずほとんどの部位のがんの原因となることが、国内外の長年の研究によりわかっています。ほかにも脳卒中や歯周病、生活習慣病など様々な病気の原因になりうるタバコは、まさに「百害あって一利なし」だといえるでしょう。

禁煙と一言でいっても、その強い離脱症状(禁断症状)からなかなかやめることが難しいタバコですが、「もう長年タバコを吸っているから、もう今更禁煙を始めても手遅れでは?」と考えられる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、今から禁煙を始めても決して無駄ではありません。早く禁煙すればするほど余命を取り戻すことができるとされています。

2004年の調査では、35~40歳で禁煙すれば喫煙前の余命を取り戻すことができ、50歳で禁煙しても6年、60歳なら3年ほど寿命を延ばすことができるそうです(※3)。

いくつになっても、禁煙をするのに遅すぎることはありません。現在から未来において一番若いのは今この瞬間です。将来、健康でいるために「禁煙してみよう」と思えたその日から、禁煙に取り組んでみてはいかがでしょうか。

 

 

参考:
(※1)厚生労働省: 健康日本21(第2次)の推進に関する参考資料
(※2)Sakata R, et al. BMJ. 2012; 345: e7093.
(※3)Doll R, et al. BMJ. 2004; 328(7455): 1519.
上勝町ホームページ|タバコの歴史と「なぜ?」上勝町診療所 木下英孝
一般社団法人日本たばこ協会|たばこ税
YAHOO!JAPANニュース|1,000円以上は当たり前? 世界一たばこが高い国ランキング
佐々総合病院|禁煙治療
八王子市ホームページ|たばこをやめられないのは「ニコチン依存症」という病気のせいです。
日本医師会|たばこの健康被害

 

この記事が役に立った・
ためになったと思った方は、
ありがとうボタンをクリック!

ありがとう ありがとう

ありがとうと思った人の数13

森本満里菜