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主婦を見習おう!家事こそが理想的な脳トレって知っていましたか?

江角 悠子(えずみ ゆうこ)
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料理にはじまり、掃除、洗濯、家計管理、果てはご近所付き合いまで…! 日々終わることのない家事をされている主婦の方や、家事を担っている皆さま、実はそれらの作業が「脳の活性化にいい」ということをご存知でしたか?

書籍「家事で脳トレ65」の著者で、脳科学者の権威・加藤俊徳氏によると、なんと「家事をする際の脳の使い方は、男性が一般に行っている仕事の比ではない」そうです! 「男性が仕事で専門的に偏った脳の使い方をしている間に、女性たちは毎日、家事で脳のいろいろな部分を活動させています。脳から見ると、そうした女性の日々の生活は二重マル! 花マルをあげたいほど理想に近い」と著書で述べているほど。

とはいえ、家事をやっていても「物忘れが気になる…」という女性がいるのも事実。同じ「家事をする」といっても、脳を鍛えるやり方があるというのです。

人の脳とは、楽な方ヘと流れるクセがあり、できるだけ省エネの方向へと向かうそう。「省エネ」と聞くと、いかにも良さそうな印象ですが、実は「慣れ」でやっている、自動化された家事は、いくらやっても脳トレ効果がないというのです。

そこで今回は、どんな風に家事に取り組むと脳を刺激するのか、加藤氏が著書で紹介している、脳を生き生きとさせる家事のやり方を紹介します。中には、「え、そんな簡単なことで?」と思ってしまう方法もあるかもしれません。が、物は試し。まずは気軽に実践してみませんか。

片づけや掃除はタイマーをセットして、記憶系部位を鍛える!

脳は、下記のように、部位ごとにさまざまな働きを担っています。

  • 感情系…喜怒哀楽を生み出す
  • 運動系…体のさまざまな部位を動かす
  • 記憶系…記憶したり思い出したりするときに活躍する
  • 視覚系…視覚で情報を得る

などなど、加藤氏はおおまかに全部で8つのパートに分け、バランスよく脳を鍛えることを推奨しています。ここではまず、記憶系を刺激する家事のやり方からご紹介。

時間を気にしなくなり、ぼ〜っとする時間が増えると、記憶力は確実に衰えていくそうです。たしかに定年退職をしてずっと家にいるようになったお父さん、子どもたちが独立して家での仕事が減ったお母さんなどなど、言動が頼りなくなるような…ちょっと思い当たる節があります。

そこで活用したいのが、タイマーです。「5分で風呂掃除を済ませる」「15分だけ冷蔵庫の中を片づける」と決め、タイマーをセットし、時間内に終わるように頑張るのです。タイマーを設置することで、「あと8分だ」「残り1分しかない!」と、時間を気にしますよね。そうすることで、脳内で記憶をつかさどる器官・海馬が元気に動き始めるそう。

見事、制限時間内に家事を片づけることができたら、「大好きなケーキを食べよう」「映画を見にでかけよう」などご褒美を用意しておくと、記憶系の部位がいっそう刺激されて海馬がよく働くようになるのだとか。

ご褒美を楽しみに、時間内に家事を終わらせる。これなら、ちょっとしたゲーム感覚で楽しく取り組めそうです。

また、料理をする際は最低3回味見をすることも、記憶力をよくすることにつながるのだとか。

というのも、味見をする際は、以前作ったときの味を脳の引き出しから取り出し、それと比較するという作業が発生します。さらに味を調えながら、2回、3回と味見をするときは直前の味を思い出し、比較・吟味することになるので、自然と「味覚の記憶力」を鍛えていることになるそう。料理の味が調う上に、脳の活性化にも一役買ってくれる味見。

私の場合、これまで味見をするタイミングといえば、仕上がる直前にわずか1回する程度。脳トレにもなると知ったからには、プロの料理人になったつもりでしっかり味見をしてみたい!

好きなエプロンを身につけて、ワクワクしながら家事を

「最近ワクワクすることが減った」
「いろいろなことに興味が持てなくなった」

もし、以前に比べて感情が動かなくなっているとしたら、それは脳の感情系部位の衰えが原因かもしれません。ワクワク、ドキドキすることは確かに脳に刺激を与えてくれそうですが、とはいえ、家事でときめくことなんて、100%ない!というあなたにこんな提案。

お気に入りの服を着て出かける日は、それだけで心がウキウキしてきませんか。加藤氏は、それを家事に取り入れてみてはと提案します。たとえば、全く印象の異なるエプロンを数枚用意して、気分に合わせてその日のエプロンを決める。「今日はどのエプロンにしようかな〜♪」。真っ白な割烹着、はたまた、カフェのおしゃれな店員さんが着けていそうなギャルソン風エプロンなどなど。普段の着こなしとはまた違うデザインを選ぶのも楽しそうです。

さらに、料理をするときに「これは大好きな俳優・○○○○さんに食べてもらう」と想像しながら作る、という方法もありなのだとか。憧れの人の喜ぶ顔を想像しながら、味や盛りつけを工夫し、「最近仕事が忙しそうだから、栄養のあるものを」と栄養面まで配慮したりなんかして。

ちょっとした工夫で、やらされ感のあった家事が、何だか楽しいものになりそうな予感。

やり方次第で家事が立派な脳トレになる!

ここまでいろいろな具体例を紹介してきましたが、脳を鍛える意味でも、家事をするときに心に留めておきたいのは、以下3つのことだと加藤氏は述べています。

(1)変える

昨日とは少し違う家事のやり方を考えて、新鮮な気持ちで取り組んでみましょう。やり方を工夫し、変えてみることが脳の使い方に偏りをなくし、脳全体をまんべんなく成長させてくれます。

(2)楽しくやる

脳は、喜んだり、ときめきたり、幸せな気持ちになったりすると活性化するといいます。好きな人のために料理をする、育てている野菜を料理に使う日を楽しみに待つ。ワクワク、うきうきしながら家事をすると、脳は一段と刺激されるのです。

(3)ひと手間かける

少しの手間を面倒がらずに、丁寧に家事をする。たとえば何でも買って済ませるのではなく、手作りをする。わざわざ昔ながらのやり方に戻してみるなど、ちょっとしたひと手間が、脳を大きく刺激してくれます。

料理、洗濯、掃除など、どんな家事をする場合も、この3つのことを念頭に置いておくと、より脳トレ効果が期待できそうです!

まとめ

改めて「脳トレをしよう!」と決意して行動に移すには、ちょっとハードルが高い気がしますが、普段している家事をちょっと工夫する、またはいつもと違った角度で取り組むだけで、脳を育ててくれるトレーニングになるなんて、得した気分になりませんか。

今回紹介した方法は、どれも今すぐできそうなことばかり。さっそく今日からでも、取り入れてみてはいかがでしょうか。

『家事で脳トレ65』 (加藤俊徳 (著) /主婦の友社)

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編集・文筆業、ときどき大学講師

江角 悠子(えずみ ゆうこ)

妙心寺派仁照寺の長女として誕生。京都外国語大学を卒業後、2006年よりフリーライター・編集者として活動。子育て中のため日々時間に追われ、常に生産性を高める脳の使い方、集中の仕方を模索しています。