• あたまナビ
  • 専門医に聞いた!脳の若さを保つ秘訣とは

専門医に聞いた!脳の若さを保つ秘訣とは

寒竹 泉美(かんちく いずみ)
ありがとうと思った人の数506

いつまでも若々しくはつらつと過ごしたい。そんな願いをかなえるために、医学は目覚ましい速度で進歩しています。治療法の開発はもちろん、病気が起こる仕組みが解明されて予防方法が見つかったり、病気を早く発見できる診断方法が確立されたりなど、さまざまな角度から私たちの健康をサポートする方法が考えられ実用化されてきています。

また、認知症が起こる仕組みがわかってきたことで、新たに注目される食品や成分も現れてきました。ミントやローズマリーに含まれる成分「ロスマリン酸」もそのひとつです。最近の研究によってロスマリン酸が認知症の予防や治療に役立つ可能性が次々と示されています。

そこで今回の記事では、「ロスマリン酸研究会」の世話人のおひとりであり、研究者としても医師としても活躍され、最先端の医療に取り組んでいる森下竜一教授にインタビューを行い、脳の若さを保つ秘訣を聞いてみました。

森下竜一 教授
大阪大学大学院医学系研究科 臨床遺伝子治療学 教授 医学博士
1987年大阪大学医学部卒業後、米国スタンフォード大学循環器科研究員、大阪大学助教授大学院医学系研究科遺伝子治療学を経て、2003年より現職。

脳の若さを保つ秘訣は生活習慣にあった!

―いつまでも元気な脳でいるために、私たちができることは何でしょうか?

まずは、糖尿病になりにくい生活をすることが大切です。なぜなら、糖尿病になってしまうと認知症の中で最も多いアルツハイマー型認知症の発症リスクを高めてしまうからです。糖尿病患者とその予備軍の人は、アルツハイマー型認知症になるリスクが普通の人より4.6倍高いという研究結果も出ています。

ほかにも高脂血症・高血圧・肥満なども認知症のリスクを高めます。糖尿病も含め、これらは日々の生活習慣と深く関わっていますから、生活習慣病を予防するような生活をすることが認知症予防にもつながります。じゃあどうすれば防げるかといえば、適度な運動、バランスのとれた食事、7~8時間の質の良い睡眠です。特別なことではありませんね。もう聞き飽きた話かもしれませんが(笑)でも、脳も体もつながっています。悪い習慣が続いて血流が悪くなると、脳もダメージを負ってしまうのです。

認知症の発症リスクは加齢とともに高くなります。年を取るのを止めることはできませんが、日々の生活習慣で認知症の発症を遅らせることや、発症してしまった場合に進行の速度をゆるやかにできることが、複数の研究で証明されています。

―なるほど。認知症も予防できるなら、生活習慣の改善に本気で取り組もうと思いました!

ぜひ、お願いします。認知症予防への取り組みは、なるべく早く始めるほうが効果的です。まだまだ関係ないと思っていても、20年先、30年先に今の生活習慣の結果が現れてきます。正しい生活習慣を続けて、なるべく健康のまま長生きしましょう。自ら健康を管理し、軽度な体の不調は自分で手当てしていくことを「セルフメディケーション」と言いますが、これは今後ますます重要になる概念だと思います。もちろん、セルフメディケーションで手に負えなくなったら、迷わず私たち医師のところへ来てくださいね。

ロスマリン酸がなぜ今注目されているのか

―セルフメディケーションのためにサプリを摂取する人も多いと思いますが、最近「ロスマリン酸」という成分が話題だと聞きました。なぜ、今、ロスマリン酸が注目されているのでしょうか?

ロスマリン酸は、最近の研究で認知症の予防・改善効果が期待できることが示されています。ロスマリン酸は、ローズマリー、シソ、レモンバーム、スペアミント等のシソ科の植物に多く含まれていて、「ポリフェノール」の一種です。

ポリフェノールが体に良いという話を耳にしたことがあると思いますが、なぜ体に良いかというと、ポリフェノールには病気や老化の原因となる活性酸素から体を守る「抗酸化作用」があるからです。活性酸素は、ストレスの多い生活や運動不足などによって増えやすくなります。増えた活性酸素は血管や細胞など、体のあちこちを傷つけてダメージを与えてしまうのです。血管が傷つけられて血液の流れが悪くなると、体のあちこちに不調が出てきますが、脳も例外ではありません。血液が滞りなく流れていかないと脳の細胞に栄養が届かず、認知症のリスクを高めてしまいます。さらに、活性酸素は脳の細胞を傷つけてしまいます。

ですから、抗酸化作用をもつロスマリン酸を摂取することで、活性酸素を減らし、脳の細胞を守る働きが期待できるのです。

―ポリフェノールといえば、ワインやカカオなど他の食品にも含まれていますが、ロスマリン酸の効果はほかのポリフェノールとどう違うのでしょうか?

ほかのポリフェノールにはないさまざまな効果が報告されています。たとえば、アルツハイマー型認知症になると脳で働く物質のひとつ「アセチルコリン」が減ってしまうことが知られています。ですが、ロスマリン酸はアセチルコリンを分解する酵素の働きを邪魔して、アセチルコリンの働きを助けます。つまり、市販されているアルツハイマー病の治療薬と似たような働きをすることがわかったのです。

ほかにも、アルツハイマー型認知症では脳内にアミロイドβという物質が溜まってきますが、このアミロイドβをロスマリン酸が分解するという研究結果も出ています。アミロイドβの蓄積を防ぐという話はほかのポリフェノールでも報告されていますが、「分解」はほかではあまり報告されていないロスマリン酸ならではの特長です。すでに溜まってしまったアミロイドβも分解できるのなら、予防だけでなく治療につながります。現在のところは、まだ動物実験で証明されている段階なので、人間でも同じようなことが起こるのかどうか、今後の研究成果が待たれます。

さらに、ロスマリン酸がもつ抗酸化作用は生活習慣病の予防にもつながります。また、花粉症などのアレルギー性疾患を和らげる効果、うつ・不安を軽減する効果など、複数の興味深い研究結果が報告されています。

―多面的な効果が期待できる成分なのですね。では毎日ミントやローズマリーのハーブティーを飲めば…!

それでもいいかもしれませんが、毎日飲むのも大変ですし、お湯で抽出するだけでは充分な量は摂取できないかもしれません。サプリを利用して賢く取り入れるのもひとつの手だと思います。

最先端の医学は今どこまで進んでいるのか

―先生がいま行っている研究を教えてください。

いろいろなことをやっていますが、その中のひとつが「遺伝子治療薬」の研究・開発です。遺伝子治療薬というのは、遺伝子を薬として患者さんの必要なところに投与する治療法です。私たちが開発したのは、脚の血管を再生する薬で、2019年2月に厚生労働省の専門家会議で承認されました。(プレスリリース)いよいよ日本でも遺伝子治療薬の実用化に向けて本格的に動き始めているのです。

ほかにも、認知症の早期診断ツールの開発を行っています。詳しく言うと、目の動きで認知症かどうかを診断できるツールです。現在は特別な機械が必要ですが、近いうちにこのツールをiPadに入れるソフトとして開発し、認知症かどうかを手軽に自己診断できるようにしたいと考えています。

認知症は、早く発見すればするほど改善の可能性があるのです。根本的な治療が難しい病気ですが、前段階の軽度認知障害(MCI)の状態なら治療できる可能性が示されています。iPadで手軽に検査ができるようになれば認知症の早期発見につながり、治療の可能性も広がってきます。このことがもっと知れ渡って、自宅で手軽にできるようになれば、検査をする人は増えるのではないかと思います。

―最後に読者の皆さんにアドバイスをお願いします。

これからもどんどん医学は発達していきますが、やはり病気になったものを治すよりも、病気にならないことが大切です。まずは日々の生活から予防を心がけましょう。生活習慣病に関しては運動と食事と睡眠。健康を保つ動機付けとしてサプリを摂取することもおすすめです。毎日サプリを飲んでいれば、それだけ健康に対して意識を配ることができますよね。でもサプリを飲むだけではダメですよ。生活習慣を変えなければ、効果は薄いですからね。

脳の健康に関しては、本を読んだりいろいろな場所にでかけて人と交流したりすることも大事です。笑いもいいですね。笑うと血流がよくなります。正しい知識を身につけて、体も頭も健康に保っていきましょう。

―よく話し、よく笑う生活をしていれば認知症の予防にもつながるのですね。いまの私に足りていないのは運動なので何か始めてみようと思いました。森下先生、今日はいろいろ貴重なお話をありがとうございました! 

運動と食事と睡眠…生活習慣は本当に大切ですよね…。加えてサプリでロスマリン酸をかしこく摂れると、脳の若さをキープできるのではないでしょうか!
まずは注目成分ロスマリン酸を摂取すべく、「ロスマリン酸 サプリ」で調べてみましょう!

この記事が役に立った・
ためになったと思った方は、
ありがとうボタンをクリック!

ありがとう ありがとう

ありがとうと思った人の数506

小説家・理系ライター

寒竹 泉美(かんちく いずみ)

京都大学大学院医学研究科博士課程修了。博士(医学)。大学院ではアルツハイマー型認知症の基礎研究を行う。2009年より「月野さんのギター」(講談社)で小説家デビュー。恋愛小説を書きつつ、ライターとして研究者取材や専門記事などを手がける。理系ライター集団チーム・パスカルに所属。