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食材の調理法や食べ合わせで栄養吸収率をアップ!

須永 貴子(すなが たかこ)
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「うなぎと梅干しを一緒に食べるのはNG」という説は、医学的には根拠がない。それどころか、梅干しの酸味がうなぎの脂の消化に役立つので、むしろ好相性の組み合わせだということが判明しています。つまりこれはただの迷信です。

しかし、世の中には実際に食べ合わせの悪い食べ物は存在します。『食材の栄養素を最大限に引き出す便利帖』(五十嵐ゆかり監修/永岡書店)には、日本の食卓に並びがちな「焼き魚と漬物」や「大根おろしとしらす」の組み合わせがNGとあります。「焼き魚と漬物」は、焼き魚の焦げに含まれるジメチルアミンというタンパク質と、漬物に含まれる亜硝酸が体内で結合し、ニトロソアミンという発ガン性物質に変化する可能性があるとのこと。また、「大根おろしとしらす」は味の相性はよいものの、大根に含まれる酵素がしらすが有するリジンの吸収を阻害してしまうそうです。

食べ合わせにNGがあるということは、食材が持つ栄養素がパワーアップする好相性の組み合わせもあるということ。本書では、食べ合わせのよい食材の組み合わせをはじめ、食材がもつ栄養素と、その栄養素を引き出す調理&保存方法が紹介されています。

秋こそ取り入れたい食材や食べ合わせとは

本書には食材ごとに、「注目成分」「選び方」「栄養素を引き出す調理法」「効果倍増の食べ合わせ」「安心下ごしらえ」「保存法」が紹介されています。例えば、これからの季節(9〜11月)に旬を迎えるレンコンは、ビタミンB1やビタミンCは水に溶けやすいので、茹でるより焼いたほうが高い栄養素を吸収でき、アクにも栄養(ポリフェノール)が含まれているのでアク抜きは5分が目安とあります。

レンコンと食べ合わせのよい食材は、まぐろとパプリカ

レンコンのカリウムとまぐろのタンパク質が組み合わさることで血管を強くし、高血圧予防に繋がるとのこと。パプリカの場合は、βカロテン、ビタミンC、ビタミンEにレンコンの食物繊維が組み合わさることで、免疫力が強化されるそうです。それぞれ、「まぐろバーグのレンコン挟み焼き」や「焼きレンコンとパプリカのマリネ」といったおすすめレシピ名も添えられているので、献立のヒントももらえます。

脳にいい食材は、やはりDHAとEPA

脳の機能を高め、動脈硬化の予防に役立つこれらの成分は、青魚に多く含まれていることが知られています。本書によると、鰹の場合は、初夏の上り鰹よりも、秋(9〜11月)に旬を迎える戻り鰹のほうが脂肪を多く蓄えているため、DHAとEPAが豊富だそうです。カレー粉と合わせることで冷え性が改善されるとか。また、レタスのビタミンCとの食べ合わせにより、鰹が含む鉄分の吸収率が高まるそうです。

集中力、記憶力アップが期待できる組み合わせ

また体の悩みを改善するおすすめ食材のページには、体の冷えや不眠といった悩みを改善する食べ合わせが紹介されています。集中力の欠如を改善するには、「さばとキャベツ」が効果的。さばが含むDHAの酸化を、キャベツに含まれるビタミンCが防いでくれるとか。また記憶力をアップするために効果的な栄養素はレシチン。DHAを含むブリやサンマを摂取するときは、レシチンを含む木綿豆腐を合わせて取るとよいそうです。また納豆に含まれる亜鉛も記憶力を高める助けがあるとのこと。木綿豆腐、納豆、キャベツを冷蔵庫に常備し、新鮮な青魚をメインにした献立を定番にしようと思います。

まとめ

この本を読んで感じるのは、同じ食材でも扱い方ひとつで、こんなにも栄養価が変わるのか、という驚きです。知っているようで知らなかった調理や保存、正しい食べ合わせの方法をできる範囲から取り入れてみてはいかがでしょう。個人的には、定番の料理は栄養を摂取する上で、理にかなっていることに改めて気付かされました。例えば、冬の定番料理の寄せ鍋は、白菜やきのこ類、タラや鶏肉といった具を食べるだけでなく、その栄養素が染み出したスープを吸った卵入りの雑炊で〆て初めて、全食材の栄養素をもれなく摂取できるのです。

また、食材の摂取の仕方だけでなく、加齢によって変化する摂取すべき食材も意識したいところです。「年代別で摂取すべき栄養素は違う」ということについては、以前『あたまナビ』内で、「年齢によって必要な成分は変わる!子どもにはDHA!では大人に必要な成分は?」の記事でも紹介しています。
年齢によって必要な成分は変わる!子どもにはDHA!では大人に必要な成分は?

また、大人の脳にいい成分としては、スペアミントやローズマリーに含まれる成分「ロスマリン酸」が、認知症の予防・治療に役立つとして注目を集めています。以前公開した「専門医に聞いた脳の若さを保つ秘訣」の記事内では、このロスマリン酸についても詳しく紹介していますので、ぜひ今回の記事と合わせてチェックしてみてください。
専門医に聞いた脳の若さを保つ秘訣とは

「食材の栄養素を最大限に引き出す便利帖」(五十嵐 ゆかり 監修/永岡書店)2016年4月出版

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須永 貴子(すなが たかこ)

国際基督教大学卒。群馬県出身、東京都在住。映画を中心に、エンターテインメントに関する記事を雑誌やウェブ、映画パンフレットなどで執筆中。人の顔と名前を覚えられないことが大のコンプレックスです。