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  • GRIT(グリット)やり抜く力 子どもの能力を伸ばす!

子どもの能力はのびる!やり抜く力を身に着ける。

究極の能力GRIT(やり抜く力)が研究されています

新型コロナウイルスの影響で今年は初夏から新学期が始まった地域もあります。ほんの数ヵ月でしたが、親御さんは教師役として自宅学習のサポートをし、お子さんの新しい才能や苦手なことに気が付いた方も多いのではないでしょうか。0歳児からの学習教室が全国各地にあることから分かるように、「お子さんの才能をどのように伸ばすか」は、いつの時代も親御さんの関心と悩みの種と言えます。

今回は才能と学習という脳の視点から、アメリカの教育界で重要視されている才能を伸ばす研究について書かれた1冊の本『やり抜く力 GRIT(グリット)※』を紹介します。ライターが「なるほど!」と思ったポイントを紹介します。仕事で後輩や部下の指導をされる方、新しい資格などご自身の勉強をつづける工夫の参考になればと思います。

(※アンジェラ・リー・ダックワース著『やり抜く力―人生のあらゆる成功を決める「究極の能力を身につける』

なお当記事作成は、出版元であるダイアモンド社様の許可を得て作成しております。

1.GRIT(やり抜く力)とは? やり抜く力は、成長思考で強くなる

様々な分野の成功者(学者、デザイナー、音楽家、オリンピック金メダリスト)は、粘り強く努力を続ける『やり抜く力(GRIT)』が共通して高いそうです。また当時に「成長思考(一生懸命努力すれば必ず人間は変わることができる。才能を伸ばすことができる)」という考えを持っている傾向があるそうです。成長思考と反対の意味である固定思考とは「知的能力は基本的にはほとんど変えることができない。向上できない。」と能力の限界を感じる考え方で、試験等で低い評価を受けた生徒は「自分には能力がない証拠だと解釈してしまい、もっと頑張る必要がある時に前向きな努力を重ねる行動につながらないそうです。成長思考を持つ生徒は、そうでない生徒と比較した場合(アメリカの高校3年生2000人以上にアンケート調査)では、「やり抜く力」が強く成績が良く大学への進学率、卒業率も高いということが研究で明らかになったようです。このように成長思考と「やり抜く力」は比例することが明らかなようです。

お子さんに「人は成長でき、粘り強く続けて自分自身の才能は自分で伸ばすことができる」という事を親御さんは伝えることが大切かもしれませんね。

2.ほめるときは、本人の努力に注目する 成長思考を妨げるNGワード

ほめるときは、本人の努力に注目する。大人が使ってはいけないNGワード

子どもの時のほめられ方が、大人になってから失敗から立ち上がる力になるそうです。ほめ言葉で「才能があるね!」とよく使うことはありませんか。これは前述の成長思考を妨げるそうです。注目すべきは、本人の努力だそうです!子どもや部下が努力しても結果が十分に出なかった時に、弱点を一緒に振り返るということがその後の成長につなげるための大切なポイントだそうです。以下のような言葉を意識して、指導者や教師は声掛けをしましょう。

「成長思考」「やり抜く力を」伸ばす表現

・もうちょっと頑張ってみようか、一緒に頑張れば必ずできるから

・よくがんばったね、すばらしい!

・今回はうまくいかなかったね、今回の方法を見直してどうやったらうまくいくか一緒に考えよう

<「成長思考」「やり抜く力を」を妨げる表現>

・君はすごい才能を持っている

・これは君には向いていないのかもしれない。他にもできることがあるよ。

・まぁ挑戦しただけえらいよ!

3.やり抜く力の鉄人が行っている練習法「意図的な練習」を取り入れよう

上達する、成果を出すためには「意図的な練習(deliberate practice)と目標の設定」が重要だそうです。アンジェラ・リー・ダックワース氏の研究チームによると、成績が平均点以下だった生徒たちが「意図的な練習」について学んだあとは、通知表の成績で向上が見られたそうです。伸び悩んでいたり、結果が十分に出ていない子どもには一流の成功者であり、やり抜く力の鉄人たちが行っている以下の練習の方法を取り入れたり、フォローをするのはいかがでしょうか。

<意図的な練習とは>

  • 明確な高めの目標を設定する。一点に絞って弱点の克服に努め、自分が達成していない目標を選ぶ。
  • 時間の長さよりも、どう練習するか。トップアスリートでも意図的な練習は1時間で、その後に休憩を入れる。脳と体が疲労するため頑張っても練習は1日3-5時間にする。
  • 必ず練習を振り返り、改善を続ける。コーチといった指導者は的確なアドバイスができるように、一緒に改善に取り組む。子供の時からやり抜く力を身に着けよう。一流アスリートが行う<意図的な練習>がある。

4.大人も子供も「やり抜く力」を習慣化してみよう

やり抜く力の鉄人たちは、目的と興味、希望が原動力のようですが、手本となるロールモデルとなる誰かに人生のどこかで出会っているようです。その出会いによって、励ましと自信を手に入れて目標に向けてエンジンがかかるようです。身近な大人が子供たちに努力、自分が決めた目標に向かっている姿を見せることは、著者も推奨しています。著者は2児の母親ですが、家庭では大人でも子供も「ハードなことに挑戦するルール」を設けているそうです。それは以下のような条件を含んでいます。

  • 日常的に、「意図的練習」が必要なハードなことであること
  • 自分の意志で決定した1つのことを家族の前で宣言すること
  • やめてもよいが、シーズンが終わる、授業料を払っているなど区切りまではやりきる。嫌なことがあったからやめるというのは理由にしてはいけない。

家族のだれもが、何かしらハードなことに挑戦しているというのは、互いに励ますことで連帯感が生まれそうですね。子供だけでなく、大人も挑戦しているコツコツとした努力を重ねていると、挑戦する心を育む、身近なロールモデルとなるでしょう。

まとめ 挑戦することは恥ではない 大人からの刷り込みに注意しましょう  

赤ちゃんは、立ち上がり、歩く、話す練習を恥ずかしいとも思わず、次の日もその次の日も挑戦していきます。しかし、いつしか失敗することが恥ずかしいと思い、挑戦を尻込みするようになるのは大人の影響があるようです。大人は、大人になって勉強を始めたり、運動を始めることは意味がない、結果が出ないのはもともと才能がないからと理由にすることはありませんか。これを聞いた子どもたちはそういった価値観にふれ、刷り込まれてしまう可能性もあるでしょう。人生の先輩で、指導する大人が放つ言葉はとても意味があります。挑戦することは決して恥ずかしいことではなく、悪いことではないですね。むしろ挑戦する人を歓迎して勇気づけて、その目標に向かう人を応援できる人でありたいですね。

次回もかるく、のしく、えむきなヒントをご紹介します。

追記 

あたまナビの記事の執筆ために、様々な脳科学者の方の本を読んでおります。その中で、アンジェラ・リー・ダックワース教授の「GRIT(グリット)やり抜く力」についての研究が紹介されており、実際にその著書を読むと大変興味深かったので記事にいたしました。今回ご紹介したヒントはその本に書かれている内容のほんの一部です。

参考文献
アンジェラ・リー・ダックワース著

やり抜く力―人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』2016年 ダイアモンド社

 

 

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谷口 由希子