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アルツハイマー型認知症治療 新薬『レカネマブ』とは

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あたまナビでも以前取り上げたことがある長年アルツハイマー型認知症の治療薬。アルツハイマー型認知症の治療が難しいこと、新薬の開発が進んでいないと思われていました。
(2022年1月25日 アルツハイマー型認知症の治療はなぜ難しいのか。期待される新薬)

しかし、2023年9月25日に日本の厚生労働省がアルツハイマー型認知症の新しい治療薬である『レカネマブ』を承認しました。

・アルツハイマー型認知症治療薬『レカネマブ』とは
・『レカネマブ』の治療の条件とは
・治療に関して心配なポイントは?
-副作用はあるの?
-費用はどれくらいかかるのか
・まとめ

アルツハイマー型認知症治療薬『レカネマブ』とは

『レカネマブ(商品名:レケンビ)』は日本のエーザイ社と米国のバイオジェン社が開発し、「アルツハイマー病による軽度認知障害、および軽度の認知症の進行抑制」の効能・効果で厚生労働省により薬事承認されました。

以前認知症治療薬として米国で「条件付き」の承認を受けた「アデュカヌマブ」に注目が集まっていましたが、正式な承認には至らず、現在も臨床試験が続いています。

今回保険適用薬として承認された『レカネマブ』はアルツハイマー型認知症の発症に深く関わっているアミロイドβを除去することで、病状の進行を遅らせる薬になっています。

1,795人を対象に2週間に1度、18ヶ月間にわたる『レカネマブ』の投与と、プラセボ(レカネマブの投与なし)と比べる臨床試験を行いました。その結果、脳の中に溜まっていたアミロイドβが顕著に減少し、さらに記憶、見当識、判断力と問題解決能力、地域社会活動、家庭生活および趣味・関心、介護状況を含む全般臨床症状の悪化が27%抑制されました。これは、症状の進行をおよそ7.5カ月遅らせる効果に相当するようです。

また、着替えや食事、地域活動への参加など、自立して生活する能力についても、プラセボと比べて37%の有効性が認められました。

従来薬は神経細胞の働きを助けるだけで原因のアミロイドβを除去しなかったが、レカネマブはアミロイドβに直接働きかける
参照:早期発見が肝心。若者こそ知ってほしい認知症の予備知識

『レカネマブ』の治療の条件と懸念

期待が寄せられる『レカネマブ』ですが、実はアルツハイマー型認知症を患っているからといって、すべての人が投与対象とはなりません。レカネマブが使えるのは、「アルツハイマー病」の患者の中でも、脳に「アミロイドβ」という異常なたんぱく質がたまっていることが確認できた人に限られます。

また、認知症は、軽いものから順番に認知症と診断される前の軽度認知障害、軽度の認知症、中等度の認知症、重度の認知症と進行して認知機能が低下していきますが、今回、薬の投与対象となるのはこのうち「軽度認知障害」「軽度の認知症」の人だけです。

専門医の見解では投与対象となる患者は、おそらく認知症患者全体の1割未満とされています。

さらに『レカネマブ』の適用の判断のために、事前にアミロイドPET検査や髄液検査が必要となります。また適用の場合も2週間に1度、約1時間の点滴が必要となり繰り返しの通院をすることが要されます。

期間は原則1年半とされており、患者の通院負担が懸念されています。

治療に関して心配なポイントはあるの?

『レカネマブ』の副作用

発熱、呼吸困難、アレルギーは反応は26.4%、脳浮腫 12.6%、脳内出血17.3%。しかし多くのケースは異常なし
参照:アルツハイマー病治療薬 レカネマブの効果と副作用は?

『レカネマブ』の副作用として薬・抗体を体に点滴することで発熱・呼吸困難・アレルギー反応など26.4%がありましたが、軽度〜中等度の症状のため薬の点滴は続けられました。脳の画像撮影よりある種の脳浮腫12.6%。脳内出血などが17.3%に確認されました。しかし、これらは治療の初期に見られることが多く、大半は無症状で時間とともに回復が見られるようです。

しかし、0.6〜0.8パーセントの確率で、けいれんや意識障害など生命を脅かす重篤な副作用を起こすとされているため、治療前、治療中はMRI(磁気共鳴画像)を定期的に行い、副作用を引き起こしていないか、アミロイド関連画像異常(ARIA)がみられるかモニタリングしていきます。

費用はどれくらい?

体重によって投与量が変化するため個人によって価格は変動しするため、例えば体重が50キロの人の年間費用は298万円になる見込みとされています。

高額な治療費となりますが日本では高額療養費制度があるため、患者の自己負担は年収156万~370万円程度の一般所得層で70歳以上の場合、年間14万4000円が上限となります。

まとめ

『レカネマブ』はすべての人が使用できるわけではないにしても、認知症が身近な人にとっては嬉しいニュースとなっています。

待望の新薬である『レカネマブ』は嬉しいニュースとして取り上げられていますが、すべての人が使用できるわけではありません。

しかし、アルツハイマー型認知症の早期の症状に気づくのが早ければ早い方がいいのは変わりません。「もし自分が、家族が認知症だと診断されたら…」と思うと怖くて診察を避けたくなる人もいるでしょう。
しかしその気持ちに負け診察を先延ばしすると、どんどんと進行が進んでいき『レカネマブ』での治療を受けられる時期を逃してしまうかもしれません。

早期発見、早期対策はアルツハイマー型だけではなくすべての種類の認知症に重要なのです。

若いうちから禁煙やバランスの取れた食事を摂るなどの生活習慣に気を付け、適度のエクササイズや、他人とのかかわりを積極的に取っていくなど日々の生活の積み重ねが認知症対策となっていくでしょう。

【参照資料】

Lecanemab in Early Alzheimer’s Disease. C.H. van Dyck, C.J. Swanson, P. Aisen, R.J. Bateman, C. Chen, M. Gee, M. Kanekiyo, D. Li, L. Reyderman, S. Cohen, L. Froelich, S. Katayama, M. Sabbagh, B. Vellas, D. Watson, S. Dhadda, M. Irizarry, L.D. Kramer, and T. Iwatsubo. N Engl J Med. 2023 Jan 5;388(1):9-21. doi: 10.1056/NEJMoa2212948.

アルツハイマー病の新しい治療薬(前編)レカネマブについて
早期発見が肝心。若者こそ知ってほしい認知症の予備知識
アルツハイマー病治療薬 レカネマブの効果と副作用は?

 

 

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