スマートフォンで脳が疲れる?デジタルデトックスで脳に休息を!
栗山ゆり
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私たちの生活に欠かせない存在となっている、スマートフォン。
便利な反面、依存性の高さが近年心配されています。
Job総研が2022年に行った「スマホ依存の実態調査」によると、スマートフォンを所有する社会人のうち、スマートフォンに依存している人は79.6%にも及んでいるそうです。
スマートフォンの使いすぎは脳を疲れさせ、心身に不調をもたらすことがわかっています。
では、私たちは一体、どのようにスマートフォンと付き合っていけば良いのでしょうか。
あなたは自分が1日どれくらいスマートフォンを使用しているか、把握していますか?
下記の項目にどれくらい自分が当てはまるか、チェックしてみましょう!
あなたはどれだけ当てはまりましたか?
当てはまっている数が多いほど、あなたはスマートフォンに依存している可能性が高いです。
脳が疲れることを「脳疲労」と言います。
脳疲労とは一体どのような状態を指すのでしょうか。
人間は脳の前頭前野という部分で、受け取った情報の処理をします。
前頭前野は大脳の中にあり、考えたり、記憶したり、感情をコントロールしたりなど、人間にとって重要な働きをする部分です。
前頭前野では集められた情報を処理するために、大きく分けて3つの機能があるそうです。
私たちがスマートフォンを使用している時は、「浅く考える機能」が絶えず働いています。
この「浅く考える機能」が動いている間は、「深く考える機能」と「ぼんやりと考える機能」は働いていない状態です。
「ぼんやりと考える機能」が働いている時に脳が行っているのが、情報の整理や分析です。
「ぼんやりと考える機能」は、電車からのんびり外の景色を見ている時やティータイムでほっと一息ついている時などに働きます。
しかしスマートフォンの使用で「浅く考える機能」が常に動いているため、「ぼんやりと考える機能」が働かず、情報の整理や分析ができなくなり、脳に疲れが蓄積します。
脳疲労に陥ると、前頭前野の機能が低下するといわれています。
最悪の場合、認知症やうつ病を引き起こすきっかけになることもあります。
次のような症状に心当たりがある場合、スマートフォンの使いすぎによる影響かもしれません。
浅く考える機能が低下すると、ケアレスミスが増えます。
一時的な情報の保持や、「喉が渇いたから水を飲もう」「寒いから上着を着よう」など日常的な作業を行う時に働くのが、浅く考える機能です。
ネットニュースやSNS、動画などの閲覧も浅く考える機能が働いています。
スマートフォンの使いすぎで脳が疲れると、日常生活で必要な判断力が低下してしまいます。
深く考える機能が低下すると、感情のコントロールが難しくなります。
「夢を実現させるために何をするべきなのかを考える」「スポーツで次の試合に勝つための戦略を考える」など、記憶や経験、知識などを踏まえて考える時に働くのが、深く考える機能です。
前述した通り、スマートフォンの使用中は、深く考える機能は停止するため、スマートフォンの使用時間が長くなれば、深く考える機能の低下にもつながります。
物事を総合的に考えて判断できなくなってしまうと、思考が偏りがちです。
思考が偏ることで、ちょっとしたアクシデントに冷静な対応ができず、イライラなどの感情が出やすくなります。
前頭前野の働きの低下は自律神経にも大きな影響を与えます。
自律神経は、心臓を動かしたり、体温を調整したり、食べものを消化したりなど、生きていく上での大切な役割を果たします。
自律神経が乱れると、
など体調にさまざまな影響がでます。
病気やその他の生活習慣によるものが原因の可能性もあるので、一概に脳疲労のせいとは言い切れませんが、スマートフォンの使いすぎに心当たりがある場合は、一度使用を見直すべきでしょう。
脳疲労を回復させるには、「スマートフォンを見ないこと」と「日常生活の改善」が一番です。
この機会に自分の生活を見直してみましょう。
スマートフォンなどのデジタル機器と距離を置くことを、デジタルデトックスと言います。
デジタルデトックスは、毎日コツコツと続けるのがポイントです。
SNSなどアプリの通知が入ると、スマートフォンを見てしまいたくなりますね。
アプリの通知をオフにすると「通知が来たからなんとなく見る」のではなく、「自分で今からアプリを確認する」という目的を持って見るので、無駄な使用が減ります。
例えば、寝る前にダラダラとスマートフォンを見てしまう場合は、寝室へ置かずにリビングに置くなど、あえて離れた場所に置きましょう。
スマートフォンを自宅に置いて外出して景色を眺めたり、一緒にいる人との会話を楽しんだりしましょう。
また、道案内アプリを使わずに目的地まで行くのもおすすめです。
自分で考えながら道を探すので、脳も鍛えられます。
スマートフォンの設定やアプリの中には、使いすぎを防止できるものがあります。
スマートフォンを見ない間に動物や植物が育ったり、アイテムがためられたりするので、ゲーム感覚で楽しくデジタルデトックスができます。
脳を休める時間を作るために、日常生活で改善できることをご紹介します。
何もせず、ぼんやりする時間を意識的に作りましょう。
初めは難しいかもしれませんが、「入浴中にぼんやりする」「ふらっと散歩する」など何かとセットにすると良いですよ。
深い睡眠であるノンレム睡眠時、脳は疲れをとるために休んでいます。
質の良い睡眠にはいくつか条件があり、以下はその一部です。
脳が回復していないと疲れを翌日に持ち越してしまいます。
一度自分の睡眠を見直してみましょう。
脳疲労は食事でも改善できる可能性があります。
以下の栄養素を積極的にとると良いですよ。
体を動かさずに同じ姿勢でスマートフォンを使用していると、血行不良で脳に必要な酸素が届かず、ますます脳疲労が蓄積します。
そのため、適度な運動をするようにしましょう。
ただし、脳が疲れている状態で激しい運動をすると、体の回復にさらに脳が使われてしまうので逆効果です。
ストレッチやウォーキングなど、体を軽く動かす程度にしましょう。
今回はスマートフォンと脳の関係について、ご紹介しました。
スマートフォンを使用している間、脳は常に働いている状態です。
朝起きてから寝る直前までスマートフォンを使用していては、脳が休まる時間がないため、脳が疲れている「脳疲労」になってしまいます。
脳疲労は、ケアレスミスの増加や感情コントロールの低下、頭痛・めまいなどの体調不良を引き起こすだけでなく、最悪の場合は認知症やうつ病を発生させる場合もあります。
脳疲労を回復させるには、デジタルデトックスと日常生活の改善が一番です。
極力スマートフォンを使用しない時間を作ること、適度な運動、バランスの良い食事、質の良い睡眠をとることを心がけましょう。
スマートフォンの使いすぎに心当たりのある方は、ぜひ一度生活を見直してみてくださいね。
【参考文献】
Job総研|「2022年 スマホ依存の実態調査」
サワイ健康推進課|原因はスマートフォンの使い過ぎ!?「脳過労」を防ぐデジタルデトックス術
大正製薬|スマホ脳疲労の症状と対処法
Active Brain CLUB|人間らしく生きるためには「前頭前野」が大事
STUDY HACKE|DMN(デフォルトモードネットワーク)とは? 知っておくべき9つのこと
岡山県健康づくり財団|スマホ脳過労
医療法人社団ベスリ会 TMS総合サイト|PCやスマホの使い過ぎ、集中力低下や不眠の『脳疲労』とは?
エデュケアポイント|スマホ脳になると脳の発達をジャマされる!?親子で取り組むべき、スマホ脳からの脱却
まなメンタルクリニック 新御茶ノ水|自律神経の働き
厚生労働省|第3章 より健康的な睡眠を確保するための生活術
アリナミン|脳疲労とは?休んでも疲れがとれない、集中力が続かないのはスマートフォンなどの影響?原因と対処法も解説
健達ネット|デジタルデトックスとその効果は?やり方も徹底解説!
博報堂けんぽ|脳疲労回復には「アクティブレスト」疲れているときこそ体を動かそう!
日本経済新聞|すべての疲れは「脳の疲れ」 脳疲労をためない新習慣