医師が注目するロスマリン酸って何?

田中 由香里(たなか ゆかり)
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超高齢社会を迎える日本にとって、脳の健康を維持することは健康寿命を延ばす上でも大切なテーマの1つ。
DHAイチョウ葉エキスなど、脳の健康に役立つ成分がたくさん知られるようになってきました。
近年、ポリフェノールが脳の健康に役立つこと。そして特に『ロスマリン酸』が認知症予防や脳の機能維持・向上に役立つと医師にも注目されています。
今回は、認知症予防に役立つ成分「ロスマリン酸」をご紹介したいと思います。

医師も注目するロスマリン酸とはどんな成分

「ロスマリン酸」は、スペアミントやローズマリー、レモンバームなどシソ科の植物に含まれるポリフェノールの一種で、特にスペアミントに豊富に含まれます。
抗酸化作用や抗炎症作用をもち、アレルギー反応を和らげる成分として知られていましたが、最近の研究で、脳への良い働きが明らかになり注目を集めています。

スペアミント由来のロスマリン酸が持つ脳機能維持のための働き

最近では、サプリメントとしても見かけるようになった「ロスマリン酸」は、脳に対してどのような良い働きをもつのでしょうか。

1.強力な抗酸化作用で脳を活性酸素から守る

脳の細胞は、体全体の酸素の20%を使用するため、常に活性酸素の影響を受けています。
活性酸素とは、体内に取り込んだ酸素の4%くらいが攻撃的な物質に変化したものです。
本来は免疫機能として、侵入したウイルスなどを攻撃する役割をもちますが、増えすぎると自身の細胞を攻撃し、老化や病気の原因になります。「ロスマリン酸」は強力な抗酸化作用で、活性酸素を除去し脳の健康を守ってくれます。

2.脳機能低下予防、脳の健康維持に働く

学習や記憶、物事への意欲や集中力・注意力の低下は、加齢とともに脳にある神経伝達物質(アセチルコリンやドーパミンなど)の減少によって引き起こされます。
「ロスマリン酸」は、神経伝達物質の分解に働く酵素の影響を抑える働きや、ドーパミンの量を増やす働きをもち、脳機能の低下を防ぎます

3.記憶力の維持

処理能力やコミュニケーションに関わる「ワーキングメモリ(作業記憶)」や記憶力の改善作用が報告されています。
ワーキングメモリとは、様々な情報を統合し、優先順位をつけ、建設的な作業をする能力のことをいいます。
ワーキングメモリの機能が高いと、処理能力やコミュニケーション能力も高いといわれており、人間関係やビジネスを円滑に進めるためにも重要な脳の機能です。

4.睡眠の質の向上

質の良い睡眠は脳の機能維持には欠かせません。
「ロスマリン酸」には、入眠をスムーズにし、質の良い睡眠を促す働きがあることがわかっています。

5.脳のゴミ「アミロイドβ」の凝集を抑える働き

アルツハイマー病の原因の1つとして考えられているのが、脳のゴミといわれる異常なたんぱく質「アミロイドβ」の凝集です。凝集とはアミロイドβが線維化しくっついて固まることをいいます。長い年月をかけて、アミロイドβが凝集することで脳の神経細胞を死滅させるといわれています。
スペアミントから抽出した「ロスマリン酸」が、アミロイドβの線維化を強力に抑えることが明らかになりました。また、できてしまったアミロイドβの凝集を分解してくれます。

なぜ医師も注目するのか

もっとも発症者の多いアルツハイマー型認知症は発症までに25年をかけて進行していく病気です。
しかし、発症し診断書がでるまで投薬などの積極的な治療をすることができません
発症までのMCI(軽度認知障害)と呼ばれる期間、もしくはもっと手前で積極的な予防対策ができる方法として「ロスマリン酸」に期待が集まっているのです。

 まとめ

脳の健康維持には、バランスの良い食事・適度な運動・社会参加も大切なポイントです。
「ロスマリン酸」を取り入れるとともに、毎日の生活習慣を見直してみましょう。
脳の健康を守ることは、自分自身だけでなく周囲の人に迷惑をかけないためにも早くから意識して取り組んでいきたいですね。

▼参考記事
・長生きでも脳が老けない人の習慣(アスコム)
著:角谷建耀知
2021年3月20日発売
・健康雑誌『若々』みらい研究所
2021年3月号(2021年3月2日発売)
https://books.wakasa.jp/

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