知っておきたい!毎朝すっきり目覚めるための「5つの心がけ」
これまでの連載で、加齢によって睡眠が変化すること、昼間の過ごし方が夜の睡眠に影響すること、必要な睡眠時間には個人差があることをお伝えしてきました。
<前回までの記事はこちら>
睡眠上手のすすめ その1:加齢とともに睡眠は変化する!年齢と眠りの不思議な関係
睡眠上手のすすめ その2:日中の過ごし方が夜の眠りを左右する!?質のよい睡眠につながる習慣とは
睡眠上手のすすめ その3:長く眠ればいいわけではない!?あなたに合った睡眠時間を知ろう
今回はもう一歩踏み込んで、質のよい睡眠をとってすっきり目覚める方法について考えてみたいと思います。
ポイントは、就寝前と起床後の習慣。5つの心がけをプラスして、朝のすっきりした目覚めにつなげましょう!
監修:花園大学社会福祉学部 小海宏之教授
(1)就寝の2~3時間前に食事を済ませる
おなかが減って眠れないから夜食をとる…その習慣が、あなたの眠りをさまたげているかもしれません。寝る直前に夕食や夜食をとると、胃腸が活発に動いて寝つきが悪くなってしまいます。
スムーズな入眠のためには、空腹も満腹もよくありません。できれば、就寝の2~3時間前には食事を終えるのが理想です。どうしても夕食の時間が遅くなってしまったときは、脂っこいものは避け、量は控えめにしつつ消化のよいメニューを選びましょう。
(参考:厚生労働省健康局『健康づくりのための睡眠指針 2014』)
(2)入浴時はぬるめの湯船にゆっくり浸かる
とくに寒い時期、温かい湯船に浸かってリラックスするのは至福の時間。実は、入浴の習慣は、睡眠にもメリットをもたらすことがわかっています。入浴で一時的に脳や内臓などの深部体温を上げることが、質のよい睡眠につながるのだそう。
理想のタイミングは、食事と同じく就寝の2~3時間前。熱いお湯に短時間浸かってすぐ出るような慌ただしい入浴ではなく、38℃くらいの湯船に25~30分ほどゆっくり浸かるのがおすすめです。
夏は手早くシャワーで済ませていた方も、なるべく湯船に浸かって心地よい眠りにつなげたいですね。
(参考:厚生労働省e-ヘルスネット『快眠と生活習慣』)
(3)寝る前のアルコールやカフェインの摂取を避ける
寝る前の飲酒が習慣になっていませんか?
日本人を対象としたある研究では、寝酒を週1回以上している男性は48.3%、女性は18.3%だったことが報告されています。睡眠になんらかの問題を抱えていても、医師などに相談せずにアルコールをとってしまう人も少なくないとのこと。
確かに、飲酒によって眠気は一時的に強くなるかもしれません。ただし、寝ている途中で目が覚めてしまったり、眠りが浅くなったりと、結局は睡眠の質だけでなく量も低下させてしまいます。
また、カフェインの摂取にも気をつけたいところ。カフェインの覚醒作用は、摂取してから3時間くらい続くことがわかっています。
寝る前のリラックスタイムに、つい何か飲みたくなるかもしれませんが、コーヒーや緑茶、紅茶、ココアなどカフェインを含む飲み物は、寝つきを悪くさせ、眠りも浅くなりかねません。加えて、利尿作用によって夜中に尿意で目が覚めやすくなるので注意しましょう。
(参考:厚生労働省健康局『健康づくりのための睡眠指針 2014』)
(4)寝るときの環境を整える
心地よい眠りのためには、寝室や寝具などにも気を配ることが大切です。
暑かったり寒かったりするとなかなか寝つけないもの。夏はエアコン、冬は電気毛布などを上手に活用して、スムーズな入眠につなげましょう。目安として、寝床内の温度は30℃、湿度は50%が理想だといわれています。
また、個人差はあるものの、人間は夜寝ているときにコップ1杯分の汗をかくといわれています。これは、深い眠りをキープするために、体内から熱を出そうとして起こるもの。吸湿性と放湿性、保温性に優れた寝具を選びましょう。寒いからと靴下を履いて寝ると、うまく熱が放出されないこともあるので注意してくださいね。
もし、朝起きて肩や首がこっているときは、枕や敷布団、マットレスが自分のからだに合っているかどうか、一度見直すことをおすすめします。
(参考:厚生労働省e-ヘルスネット『快眠のためのテクニック -よく眠るために必要な寝具の条件と寝相・寝返りとの関係』)
(5)朝食をとって、心身をすっきり目覚めさせよう
毎日の朝食は、一日のスタートを切るための大切なスイッチ。実際に、日本人を対象にしたある研究では、睡眠と目覚めのリズムが不規則な人において、朝食を食べない日が多かったり、朝食の量が少なかったりする傾向があったことが報告されています。
朝食と目覚めとの関係について、すべてが明らかになっているわけではありませんが、午前中の活動性を高めるうえでも朝食は大切な役割を担っています。おいしい朝食を決まった時間にとって、すっきりした目覚めをサポートしましょう。
(参考:厚生労働省健康局『健康づくりのための睡眠指針 2014』)
まとめ
何気なく繰り返す、毎日の睡眠。自分が寝たいときに寝ているように思えて、実は加齢や遺伝、生活習慣など、さまざまな影響を受けています。
眠くなくても布団に入って無理やり目を閉じている…そんな方もおられるかもしれません。けれど、眠れないときは、リラックスした時間を過ごすなかで自然な眠気を感じてから寝るほうが、質のよい睡眠につながるでしょう。寝る時間より朝起きる時間を一定にすると、リズムが整いやすくなりますよ。
いずれにしても、快適な睡眠のかたちは人それぞれです。自分に合った対策を上手に取り入れて、ぐっすり眠ってすっきり目覚める毎日を過ごしたいですね。
【監修者プロフィール】 小海 宏之 教授 花園大学 社会福祉学部 臨床心理学科 公認心理師/臨床心理士/日本老年精神医学会認定上級専門心理士/精神保健福祉士 1986年関西大学社会学部卒業、2007年関西大学大学院社会学研究科博士課程前期課程修了、藍野病院臨床心理士、花園大学社会福祉学部准教授などを経て現職。 |
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編集者・ライター
藤田 幸恵(ふじた ゆきえ)
医学書の出版社で編集者として勤務後、フリーランスの編集者・ライターに。医師をはじめとする専門家の取材や監修のもと、医療・健康・美容に関する記事を多数執筆。からだやこころの不思議について考えること、専門書や論文を読むことがとても好きです。